ヤクザの実戦心理術 金融地獄編

“ヤバい”と知りつつ、なぜ借りてしまうのか?!
金融ヤクザの恐るべき心理術を全公開!!

怖い世界…。


●ビジネスのヒント – ただし悪用厳禁

・紹介屋の手口「つきましては、手数料三割を次の口座に振り込んでください」
・ヤミ金融にとって最上の客は、「完済する客」ではなく、「返済し続ける客」だ。利息を払い続けてくれれば、これほどオイシイ客はしない。
・共通しているのは、次の三点だ。「本来なら、絶対に借りないような暴利の金を借りさせる」「本来なら、絶対に信じないような人間を信じさせる」「本来なら、絶対に乗らないような甘言に乗せる」金融ヤクザは、これらすべてを「話術」と「レトリック」でやってのけるのである。では、なぜ金融ヤクザの餌食になるのか。それは、客が「生きよう」とするからだ。溺れる者は、ワラにもすがろうとし、そこにつけ込むからである。

a)商品やサービスを売ってもらう伝(つて)や人脈がない人を相手にしたアフィリエイトビジネスや
b)小額の会費(借金でいう利息だけ)を徴収しつづける会員制ビジネスや
c)夜も眠れない人(溺れる人)のもつ緊急性の高い悩みを解決するためのビジネス
悪用してはいけないが、いずれも現実にビジネスとして急激な成功をしている人がやっていることと同じだ…。
●セールスのヒント – ただし悪用厳禁

・ヤミ金融も新興宗教の被害者も、人間すべて「アンタは悪うない」と言ってくれる人に好感を抱くのである。
・「風貌に反してていねいな口をきくと、どんな人間なのかつかめなくなって、不安になっちゃうんですね」心理学の本で勉強したのだと、帰途の車で川端君は笑った。
・彼らは”普通のヤクザ”と同様、怖がられるからこそシノギができるのだ。「あの人たちを本気で怒らせたら何をするかわからない」という潜在的な強迫観念があるから、客はどんなことをしてでも返済しようと必死になるのだ。
・脅迫は、さりげないセリフほど、効果がある。「テメエ、殺すぞ!」と、迫力を出すよりも、「あんた、明日も、お天道さまが拝めるといいな」と、淡々と告げたほうが、相手はドキリとする。なぜなら、「殺すぞ」の”ぞ”は「殺すかもしれないぞ」というセリフの省略形で、「おまえの出方によっては勘弁してやる」というメッセージが込められているからだ。交渉の余地あり、というニュアンスが気持ちを楽にする。これに対して、「明日も、お天道さまが拝めるといいな」というセリフには、相手の意思もメッセージもない。「明日も生きていられるといいな」という客観的な表現だ。だから言われた人間は、相手がそのセリフに込めた意味を無意識に探ろうとする。その結果、恐怖が恐怖を呼び、「ち、ちょっと待ってください」というセリフが飛び出してくる。相手にゲタを預け、あれこれ想像させることで恐怖を増幅させ、相手から自発的に「回答」を引き出す – これが脅迫の基本だ。

a)顧客にとことん共感し、
b)ギラギラした威圧感をマイルドに包み(自分はこれが嫌い)、
c)決めかねていると客観的な表現で突き放し不安を煽る
…住宅や保険、学習教材などの、いわゆる高額商品を売るやり手のセールスマンの特質そのもの。
●違法行為という-を+に転じる話術

・貸した内容に話が及ばないよう、支払い総額と返済方法だけに話を仕向ける。追い込むコツは相手に、「質問させない」ことだ。「現状はこうです」「どうしますか?」「それでいいんですね?」「じゃ、そうしましょう」 – という四段論法で、一気に結論に持っていくのである。
・金銭消費貸借契約書を交わすのは、ヤミ金融業者にとって都合が悪いのだ。トイチという違法な金利を取ったことが、証拠として残ってしまう。もし借りてが警察に駆け込むようなことでもあれば、契約書は命取りになるというわけである。
・自分のことは棚に上げ、相手に”負い目”を背負わせ、徹底的に攻めるのである。

ネガティブな要素がある場合に、むしろそれを売りにしてしまうというのも、セールスではよく使われる手法。
明らかな違法行為を隠すために使ってはいけないけれど、似たようなことをしているセールスマンは多い。
でも、自分は、そういうことは、したくない。
心理操作を試みるような、操作主義を感じると、商品がいくらよくても、買わない。
●マインドセット

・斬り結ぶ 太刀の下こそ地獄なれ 踏み込んでみよ 極楽もあり 何事もヤバイと思ったら、逃げるのではなく、積極的に”前に出ろ”という戒めなのである。逃げるから追われるのである。
・法定金利でやれば、パクられることもなく、細く長く安定したシノギができる。だが、法定金利で金をまわすには、十人に貸したら十人に返してもらわなければやっていけない。ところが十三屋になると、貸した十人のうち、四人は行方不明になっても、残り六人から取り立てればいいと考える。しかも返済の原資は、どこから引っ張ってこさせてもいいのだ。どっちがヤクザの性分に合っているか、言うまでもないだろう。
・ヤミ金融に限らず、どんな分野においても、客の立場にいる人間は、意外に店の立場でものを考えないものだ。自分の都合、自分の価値観 – すべて「自分」を中心に考え、判断しようとする。だから、足下をすくわれるのだ。ヤミ金融の立場で「自分」を見れば一目瞭然ではないか。「自分」に金など絶対に貸すはずがないのである。

ギリギリのところで生きている人たちから学ぶことは、多い。

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