知恵の遥かな頂

昔、中沢新一さんの「虹の階梯」を読んだ。
それがすばらしかったので。


中沢新一さんのあとがき(感謝のことば)として

「この本は「昔のチベットのことをあまりよく知らない、亡命地で産まれて育ったチベットの若者たちのために、その昔チベットの向学心に燃えた若者たちは、こんなふうにして教えを求め、学んできたのだということを、自分の体験をとおして伝えておこうとして、一気に書き上げられたのだそうです」

とあるように、まさにそのことがよくわかる、とても貴重な一冊です。
●とくに印象に残った点
・ロチェンがグルにつらくあたられた時の「先生は私の心を今、お試しになっているのだ。これで、私が先生への信頼と尊敬を失ってしまったら、私は永遠にダルマとの結びつきをなくしてしまうだろう。…」の言葉にとても感動した。
・p97にある、ゾクチェンのヴィマラミトラの系譜とヴァイローチャナの系譜の二つの関係についての図解がとてもわかりやすい。
・「リメ運動」について。チョーリン、ジャムヤン・ケンツェー、コントゥルと、彼らの弟子であったミファム・リンポチェによって指導されてきたこれらの超派運動に、とても心引かれる。
・ケツン・サンポ・リンポチェは、政治的な圧力で、半ば強制的に還俗させられ、33才のときに結婚していたり、その後、妻と産まれたばかりの赤ん坊をおいて亡命しなければならなかったりとのすさまじい経験をしている。そのときにどのような気持ちだったのか、どう考えたのか。色々な意味でとても参考になった。
●この本を読んで
私も、相承の系譜につらなりたいと思った。どうすればいいのだろう。そして、さらにまた、ゾクチェンというものにとても強い興味を覚えた。

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