使える弁証法

ヘーゲルが分かればIT社会の未来が見える
ただ一つの法則を知るだけでビジネスにおける
「洞察力」「予見力」「対話力」が身につく

何度も読みかえしたい一冊。
マーケターや投資家、政治家などは、
とくに目を通すべきだろう。


田坂さんの本は、いつもそうだけど、この本はとくに…
・読むたびに、ビジネスのアイデアが浮かび、
・今悩んでいる課題の解決のヒントが得られ、
・進むべき道が何か、自分に足りないことが何かを思い知らさせる。
そんな本。
例えば、
1. 親子の断絶、核家族化して失われた老人の知恵、代々受け継がれる子育ての知恵についても、進化した形で復活してくるのではないかという予感
2. 親業における親子の関係のあり方は、弁証法そのものではないか、という気づき
3. 30才ぐらいまでにもやもやと感じていた「論理思考重視することへの違和感」は、清濁併せ呑む・矛盾を把持する「器」のことだったという気づき
など。
また、田坂さんの他の本を読んでいれば「螺旋的発展」については、ところどころに出てくるけれど、この本ではとくに、具体的なその活用の仕方について触れられていて、より深い発見があった。
●進化について

・「進化」という言葉は、もともと生物学の用語であり、単なる「連続的な変化」ではなく、「不連続的な飛躍」を意味した言葉
・「進化」とは、未来に向かって、直線的に進んでいくもの という誤解 →「進化」もまた「螺旋的発展」を本質としている
・「進化」の本質は、「多様化」なのです。「進化」とは、単に「古いもの」が消え、「新しいもの」に置き換わることではない。

私のかかわる分野、かかわろうとしている分野においても、
消えていったものが、確かにある。それが、どうなるのか。
打ち捨てておくのではなく、もっとよく考えてみるべきだなと、思った。
●弁証法の「螺旋的発展の法則」を具体的に使うための思考の方法

  「螺旋的発展」において、何が「復活」してくるかを、読む
  「合理化」と「効率化」の中で「何が消えていったのか」を、見る
  「その段階」で、それが「なぜ消えていったのか」を、考える
  「新しい技術や方法」で、どうすれば「復活」できるかを、考える
・ひとたび消えていったものが「復活」してくるとき、必ず、何かが「便利」になって戻ってきます。なぜなら、世の中で「合理化」や「効率化」が進むとき、必ず、その背景で、「革新的技術」が出現したり、「社会的基盤」が整備されているからです。
・ある指標の「量」が一定の水準を超えたか否かを判断する目安 = 「キーワード」が忘れられたか

そうか、技術的革新とかインフラの整備、キーワードのチェックは、
具体的にこうやって使うのか…。腑に落ちた。
●ネットについて

・ネット革命において何かが「復活」してくるとき、そこに付加される「新たな価値」とは、しばしば、こうした「ハイタッチ」、すなわち、「温かさ」や「心配り」となっていくのです。
・「量」が増大し、一定の水準を超えると、「質」の変化が起こる
・ネットワーク社会においては、「ユーザー数」が重要な指標になるのです。

ネット社会に深く携わる自分にとっては、とくに心に留めておくべき言葉だ。
マーケティングの神と呼ばれる多くの人の言葉どもぴったり符号している。
●矛盾について

・「矛盾」を機械的に「解消」するのではなく、それを弁証法的に「止揚」したとき、物事はは発展を遂げる
・「止揚」とは、何か = 互いに矛盾し、対立するかに見える二つのものに対して、いずれか一方を否定するのではなく、両者を肯定し、包含し、統合し、超越することによって、より高い次元のものへと昇華していくことです。
・「割り切り」とは、魂の弱さである。- 心の中に、壮大な「矛盾」を把持し、その「矛盾」と対峙し、格闘し続けることのできる人物。→ 「器の大きな人物」
・「論理思考」の方法は、そもそも「論理的整合性」を重視し、「矛盾」を排除する思考であるため、物事の発展の原動力であり、生命力でもある「矛盾」について、それを「止揚」する視点を持ちません。そのため、素朴な問題の解決には、ある程度、役に立ちますが、難しい問題を深く考え、答えの無い問いを問うという「知の技法」としては、あまり役に立たない方法です。

論理思考・ロジカルシンキングは、30代前半に、もう卒業だ。
ベースとしてこのスキルを使いこなせることは前提だけれど、
立場も代わり、意思決定・責任を負うようになってくるこれからの自分は、次のステップに入るべき。
矛盾を矛盾として心に把持する。

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