新しい社会と子育て

野田俊作講演録
保育・育児・教育の根本原理を学ぶ


前から興味を持っていたアドラー心理学を本格的に学ぼうと思い。
嫌われる勇気で有名な岸見さんしか知らなかったけど、
国内ではこの野田俊作さんが第一人者っぽい。

生まれた瞬間の赤ちゃんが、敵の中に生まれてきたとは思っていないんで、みんな仲間だと思って暮らしてくるんだけど、育ててくる中でいつか親や教師が、ああこの人は敵なんだ、と思わせるような言動をしたわけだ。それで子どもは傷ついて、『ああ、この人は仲間じゃないんだ、敵なんだ』って思っちゃったんです。これを勇気くじきと言いますね。

これは子育ての本質かもしれない。
パセージでも習った重要な目的の一つ「人々は私の仲間だ」の話。
この仲間という感覚を、子どもが親に対して持てるかどうか。
そういう感覚を持てる関わりができているかどうか。

確かに、罰というのはとても効果的な育児なんです。即効性があります。すぐ効きます。すぐ効く薬ほど危ないと思いません? やっぱりじんわりと効いてくるほうが本当にいい薬で、すぐ効く薬は毒性が高い。罰も毒が強すぎる。

だいたい罰を使ってね、良いことを教えるのは難しいんですよ。罰を使って、悪いことをやめさせることはできるけども、適切な行動を増やすっていうのは、罰を使ってどうやってやるんですか。「勉強しなさい!」って、こう怖い声で言うと、身体は勉強するようになるかもしれないが、心は勉強が嫌いになってると思わない?

賞罰をやめたい。だから賞罰に頼らなくてもいい関わりがしたい。
でもそれが、賞罰に頼らずに「コントロールしたい」という意味だと、
その操作主義の思いは、やはり子どもに伝わってしまう。
目的の一致をどうとるのか、その話し合いという形の説教・押し付けになりがち。
ここはまだまだ学びが必要なところなのだろう。

だいたい私のお勧めは、お勉強と、友達関係と、さまざまな興奮すること – ファミコンゲームであれ、スポーツであれ、なんであれ、興奮すること – の三点は、最低限親が口を出さないようにした方が、子どもが自分で学ぶのではあるまいかと思っています。

口を出さないようにした場合にどうなるか。
自分自身のことを振り返ってみてみると、確かにこの三つについて
ほとんど何も口を出された記憶がない。
父親が早くに他界してしまったことの影響もあるかもしれないけれど、
それでも人並み以上に勉強もできたし、友達にも恵まれていたし、
ゲーム漬けのニートになることもなかった。

子どもの人生に対して親が妙な誘導をしようと思わなければ
勝手にうまくいくようになっているのかもしれない。

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