英語をやっていて、本当によかった。

吉越流 ビジネスマンのための英語塾

この本は、英語の話そのものよりも、
仕事と文化の話という感じ。
毎日、外国の人と働いている今の環境の私には、
ためになる気づきがたくさんあった。

●英語の必要性

・益川さんは、ノーベル章の授賞式の講演で、まず英語を話せないということを英語で語り、その後に日本語で講演をして、それが通訳されて会場に流されました。中身を持っている人の話には、外国人は耳を傾けようとします。抜群の中身があれば、言葉の壁は何とかなるものです。コミュニケーションにおいては、何よりも伝える「中身」「メッセージ」が大切です。それを磨くことが最優先であり、そのうえで必要に応じて語学力を身につけることが良いのではないかと思います。伝える「中身」や「メッセージ」をまったく持っていないのであれば、どんなに英語をペラペラと話せても相手に伝わっていくものは何もありません。
・もし、あなたが「何をさしおいても付き合いたい価値のある相手」と思われているなら、あなたは、あえて英語を勉強する必要はないかも知れません。きっと相手が必死になって日本語を勉強してくれるでしょう。大切なことは、「個人として付き合うに値するかどうか」ということです。
・プルーフ・リーディング : ネイティブの人が表現を含めて正しい英文になっているかどうかをチェックする校正、校閲のようなものです。特に、商品パッケージの表記や広告宣伝媒体の表現に関しては、会社の信用や売上げにダイレクトに響いてきますから、ネイティブの人のプルーフ・リーディングは不可欠なことと言えます。

そう、もっとも大切なことは、価値のある人間になること。
その堂々とした自信こそが、コミュニケーションの大前提。
かつて欧米人に一目置かれていた「武士」について考えてみればいい。
その上で、商売において必要なところで、通訳やチェックを使えばいいんだ。
実際に外資系の職場で仕事をしていると、その事実がよくわかる。
優秀なエグゼクティブは、片言英語であっても、
相手は非常にリスペクトした態度で話してくる。

●外国人の考え方とロジックの大切さについて

・外国人は、自分で物事を考えられない人間を好まない傾向があります。「誰かに言われたからこうした」とか「昔からこうやっている」という言い方は、まず通用しません。「私は、このような理由で、こう考えているから、こうしています」と説明できることが、外国人と付き合っていく上での大前提になります。「昔からそういうやり方をしていたので・・・」→「だけど、それは、まずいとは思わないのか?」
・外国人は、「和」を重視する日本人と違って、意見の違いをあまり怖れません。理由が納得できれは、自分と反対意見を言われても一応あいてを認めるからです。理由を言わずに反対意見を言うだけなら、感情的に嫌われるかもしれませんが、理由を伝えれば、理性の部分で判断してくれます。
・政治的要素を含んだ「交渉」となると、彼らはまったく別のロジックによって臨んできます。外交交渉は「ディプロマシー」と割り切っているのです。より自分たちに都合の良いものを求めて、全力で挑んできます。権益を奪い合うといった姿勢に変わってきますので、その場合は、こちらも割り切って、対応すべきです。
・外国人は情報を先に出して、そのうえでロジックによってディベートをしようとします。情報を隠す人はルール違反と見なされたり、嫌われたりします。外国人とビジネス上のミーティングをするときも同じです。最後に情報を出して「実は、こういう情報がありまして・・」とやったら、相手に不信感を持たれてしまう可能性が高いと思います。「なぜ、最初にそれを出さなかったのか」と言われてしまうでしょう。後から情報を出すのは、ディベートの仕方を知らないのか、あるいは、「ディベートは相手をうち負かすために行うものだ」と思いこんでいるのか、どちらかだと思います。意見を戦わせて、より良い結論を導き出そうとするがディベートであり、単にどちらが勝つ、負けるといった目的で行われているのではありません。
・「パワー・ハラスメント」実は日本で作られた言葉です。海外では、「パワー・ハラスメント」の概念は、理解されにくいと思います。それはビジネスの場面では、部下に対してロジックで対応するのが当たり前と考えられているためです。
・外国人には、酔ってしまうこと自体が嫌われます。彼らは、議論をすることは大好きです。立食パーティでも、座って行うパーティでも、ディスカッションはよく行われます。彼らは、ディスカッションは楽しいことだと思っています。
・仮に勝負に負けたとしても、過度に落ち込む必要もありません。ゲームはゲームです。「このゲームでも絶対に勝ってやろう」という気持ちになればいいのです。そんな感覚で仕事をしていけば、外国人も「こいつい、おもしろい」と思ってくれて、多少の語学力の低さなど、いくらでもカバーできます。

この、交渉になると徹底的に権益を奪おうとしてくるというところ、
彼らが肉食動物なんだと感じる部分はまさに同感。
善意とか好意とか良心はいったいどこにあるのか?と思いたくなるほど、
彼らはゲームとして割り切って戦いを挑んでくる。
彼ら相手に「卑怯」などという言葉は通じない。
自分の身は自分で守らなくては。
でも逆に、すべてがロジカルに割り切れるという点では、とてもわかりやすいし、仕事はしやすい。
立場や年数などがあるだけという理由で、非科学的な人間関係の気の使い方も必要ないし。

●教育の違い

・日本とフランスでは、教育の仕方もまったく違っているようです。妻から聞いた話ですが、彼女の大学入学資格試験での哲学の問題は「何ゆえに動物は言葉を話さないのか」というものだったというのです。それに答えるための制限時間は二時間。その間にロジックを展開し数ページにわたって文章にまとめなければならないのです。息子をフランスの学校に通わせていましたが、小学校の時からすでに、日本とフランスでは教育に大きな違いがあります。息子は小学校で、毎日テキストの二ページ、三ページ分にわたることを徹底して暗記させられていました。それは哲学者、科学者、歴史家の言葉、心理、史実など多岐にわたる事象でした。そして、暗記した後は、その素材を使って理論構築することを繰り返し練習させられていました。私は、ドア津の大学に留学していましたが、ドイツでも似たような感じでした。
・ビジネスにおいても「なぜ?」を考えながら仕事をしてみることは、とても有効なスキルアップにつながるはずです。「なぜ、この仕事が重要なのだろうか」「なぜ、この書類が必要なのだろうか」「なぜ、明日までにやらなくてはならないのだろうか」「なぜ、私の仕事は時間内に終わらないのだろうか」

ロジックの構築能力が何より大切であり、
そしてそれを養うためには、まず大量のベースとなる暗記が必要、ということだろう。
これは子どもの学習支援においても留意しておくべきところ。

●勉強法

・「会話と文法は違う。中学・高校時代の文法の勉強は、英会話には役に立たない」と言う人もいますが、そのようなことはありませんでした。中学・高校で習ったことは、決して無駄ではないと思います。文法をもう一度復習してみると、英語をマスターするスピードが早まるはずです。
・どこを読めばいいかと言えば、エディトリアル(社説)。社説は格調の高いきちんとした英語で書いてありますから、英語の勉強にとても役立ちます。リアルタイムのビジネスにも役立ちます。
・インドでは一ヶ月で道が百キロメートルできているそうですが、こうした話題は日本の新聞には載りにくいものです。世界のメディアの感覚は日本のメディアの感覚とは異なっていることがわかります。世界を広く知り、視野を広げるには、海外新聞は最高のツールです。

インターネットで社説だけでも読むというのは、よさそう。
さっそく実践したい。

●組織とマネジメント

・上司のすべきことは、方向性の枠組みについての合意と、デッドラインを決めることだけです。あとは、部下に任せるべきなのです。
・「一対一ではメールはよこすな。相手と直接会って話し、その結果をみんなに一斉にコピーで流せ」と部下に指導をしていました。
・日本の会社は、向上などの製造部門では、非常に合理化が進んでいて、とても高い生産性を誇っています。外国企業とは比べものにならないくらい生産技術は高く、効率化も進んでおり、高い生産性を発揮しています。その一方で、ホワイトカラーのほうはどうかというと、生産性が改善されないままに放置されていることが多いようです。
・ホワイトカラーの生産性向上が置き去りにされています。
・あなたにとって「仕事」の対極にあるものは何でしょうか? ヨーロッパ人に聞くと、「遊び」と答えます。しかし、日本人に聞くと、「休み」と答える人がたくさんいます。
・本社の幹部が来日すると、「英語屋」さんは、張り切って接待をします。幹部を京都に案内したり、名所に連れていったりします。幹部は、それにすっかり満足をして、「彼は使える」「こいつはできる」という判断を下し、「英語屋」さんを先に出世させます。こうして、英語の力だけで、スイスイと出世していってしまうのです。

そうか、本質的にはホワイトカラーの効率化だけが、
昭和初期から何も進んでいない、つまり「遅れている」ということなんだ。
そう考えると、とてもわかりやすい。

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