お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方

知的人生設計入門

この方を知ったのは、ずーっと前、日経新聞のコラムを読んだ時。
内容がおもしろくて連載を毎回楽しみにしていた記憶がある。
帯に「金持ち父さん貧乏父さん」は今すぐ捨ててくださいと興味深い一文が紹介されていて、目を引いた。
これはどういう意味なのか?と考えながらページをめくってみた。


2002年当時にかかれたものなので、現在の税制や経済環境とは多少の差はあるものの、根底にあるマインドは、2010年末の今でも大切なことと思えるものばかり。
自分で決算処理をやる身としては、そこらの節税の手引き本や決算本を読むよりも、100倍価値がある。
究極の節税法”PT”も興味深いし、p173の「最適年収の計算方法」なども嬉しい内容だった。
以下拾ったところ
●資産形成の基本

「知識社会」においては、知識を獲得するのか、金を払うのか、それとも回り道をするのか、その選択を迫られることになります。
住居費を減額することができればキャッシュフローは劇的に改善します。
ほとんどの人は、生命保険の大半を解約してしまっても何の問題もありません。資産形成から考えれば、生命保険ほど効率の悪い金融商品は他にはありませんから、その利用は最低限に留めるべきです。

●投資

この10年で住宅価格が半値になったということは、現金を持っているだけで、年利7%で運用できたのと同じです。お金を(投資せず)郵便局や銀行に預けておくだけで、相対的には、資産はどんどん増えていったのです。
マーコウィッツがノーベル賞を受賞した理由は、別のところにあります。彼は、同じ統計学の手法を使って、「もっとも効率的なポートフォリオとは市場全体に投資することである」という発見をしたのです。要するに、インデックスファンドに投資しなさい、ということです。
その後、同じくノーベル経済学賞を受賞したジェームズ・トービンによって、最適なポートフォリオを維持したまま、投資のリスクを調整する画期的な方法が発見されました。インデックスファンドと国債を組み合わせるだけです。国債は、国家が支払いを補償した無リスクの資産という意味で使われているので、預貯金で代替しても構いません。
最悪なのは宝くじで、購入代金の半分は、買った途端に国に持っていかれます。こんな割の悪いギャンブルは、世界的にも例を見ません。公営宝くじは、「国家が愚か者に課した税金」と呼ばれています。

●不動産投資

裁判所の競売物件閲覧コーナーを訪ねてみることをお勧めします。そこには、スーパーに並ぶキャベツや大根のように、不動産が裸の価格で転がっています。
住宅ローンは株式の信用取引と同じである。不動産の営業マンが顧客に住宅ローンの利用を進めるのは、株式の信用取引や先物取引の勧誘と同じです。しかし当の営業マン自身が、そのことにまったく気づいていません。
家賃よりも安く家が買えることはない。「家賃分の支出で家が買える」とセールスする業者もいますが、これはまったく意味がありません。すでに説明したように、不動産の購入で1500万円の金融資産を失い、将来そこから得られるであろう運用益を放棄しているからです。
市場経済においては、確実に手に入れることのできる利益(超過リターン)は、目端の利いた市場参加者によってすぐに発見され、消費されてしまいます。これを裁定取引(アービトラージ)と言い、その結果、すべての価格は誰も確実には得をしないところに落ち着きます。これが、抗うことのできない市場の基本原理です。そう考えれば、そもそも持ち家と賃貸の優劣を考えること自体が無駄と言えます。
ワンルームマンション投資がそんなに有利なら、業者はなぜ、他人に売却してしまうのでしょうか?確実に儲かるのなら、自分で商売した方がずっと得なはずです。業者は、将来のさまざまなリスクを考えると、見た目に6%の利回りがあったとしても割に合わないと考えているから、完成した物件を一日も早く第三者に売りつけようと必死になるのです。

●生命保険と年金

もっとも保険料が安いのは、全労災(こくみん共済)、日本生協連(CO-OP共済)、全国生協連(生命共済)などの共済系の生命保険でしょう。これらは毎月1000~5000円程度の定額掛金制で、加入年齢が上がっても掛け金(保険料)が変わりません。これから新たに保険に加入する場合でも、共済系3社を組み合わせれば、ほとんどのニーズに対応可能です。
人生の大きな買い物は不動産であり、次は保険だと言われています。
公的年金制度でもっとも得をしているのは、崩壊しかけた国民年金に加入し、毎月きちんと保険料を納めている人たちです。
とてつもなく有利な金融商品と言うほかありません。この圧倒的な有利さに気づいた人は、当然、上限いっぱいを国民年金基金に拠出しています。
政管健保は扶養家族が何人いても世帯主の保険でカバーできますから、扶養家族が多いほど一人あたりの保険料は安くなります。こうした仕組みは、大企業の従業員が加入する組合保険でも同じです。
平均年収700万で40年間加入した場合で考えると、サラリーマンが生涯支払う医療保険は2600万円。自営業者は40万円。(医療費の自己負担額は同じ)
自分で当たりくじを引ける雇用保険にだけはメリットがあります。そのため厚生年金と健康保険は無視して、雇用保険(+労災)にだけ加入している会社もかなりあります。

●法人化と節税

毎年300万円を投資に回し、年3%で運用したとしても、1億円の資産をつくるのに25年かかります。いくら高収入のサラリーマンでも、子どもの教育費などを考えれば、毎年コンスタントに300万円を積み立てられる人は限られてくるでしょう。それに対して、同じ条件で毎年600万円を投資に回せば、14年目で資産は1億円を超えます。税金を払わないことによって、何の追加努力もせずに、経済的独立までにかかる時間を10年以上も短縮することができるのです。
個人が法人を利用して合法的に税コストを下げるには4つの基本的なルールがあります。
1. 所得税の発生しない範囲で給与を決定する
2. 所得税の発生しない範囲で家族を雇用する
3. 生活費を法人の経費に振替える
4. 個人資産を法人名義で運用する
個人事業主は、経済産業省管轄の中小企業事業団が運営する退職金共済「小規模企業共済」に加入することができます。運用利回りは国による元本保証で、国民年金基金と同じく実質年3%強ですから、こちらも圧倒的に有利な金融商品です。
自営業者は、国民年金基金と小規模企業共済に加入することによって、最大で年間160万円超を非課税で積み立てることが可能になります。
そのうえ、従業員を雇用すると「中小企業退職金共済」に加入することができます。国民年金基金、小規模企業共済と並ぶ、圧倒的に有利な金融商品です。
法人名義で車を購入すると資産計上しなければなりませんが、リースなら無条件に経費にできます。リース料もかなり下がってきており、今ではローンで車を買うよりも割安なこともあります。
1000万円を、自分の法人に貸し付け、銀行に預金したとします。法人税は総合課税なので、決算が赤字だと、利息が戻ってきます。その上戻ってきた税金には、還付の確定から実際に還付されるまでの間、年利4.1%の還付加算金までついています。
役人がトラブルを避けるためには、自分がルールどおり手続きを行ったことを証明する必要があります。役所は書類が支配する世界ですから、無過失の証明も書面で行わなくてはなりません。このことが、役人の行動原理を決定します。要するに、手続きに必要な書面が揃っていれば、その他のことはどうでもいいのです。
取引先同士で商品券を”贈答”しあうケースもあります。総額100万円の商品券を盆暮れに取引先に贈り、同額のお返しを商品券でもらうと、80万円が損金になります。

●税務調査

中小の法人も3月決算にするところが多いようです。これはもちろん、決算の集中で税務署のチェックが甘くなることを期待しているからです。
個人の銀行口座には、法人からの給与以外、余分な入金はいっさいないようにしておきましょう。
税理士の仕事は、顧客のために税務署と闘うことではなく、税務署員がノルマを達成できるように、顧客を説得して、「お土産」を持たせてあげることなのです。「売上げが1000万円に満たない零細企業なんだから、ここは10万円くらいで勘弁してあげてくださいよ」というわけです。
世の中に”闘う弁護士”はいますが、”闘う税理士”はいません。何といっても税理士の処分権は国税庁長官にあるのですから、”お上”に反抗することなどできるはずはありません。
退職後に地元で税理士として開業することが、調査官の行動に大きな影響を与えているのは明らかです。将来の開業を考えれば、顧問先になってくれそうな会社には、あらかじめ便宜を図っておかなくてはなりません。厳しい調査で恨まれたり、悪評が立つようなこともできなくなります。
税務調査の判断に不服がある場合は、所轄の税務署長に対して「異議申立て」をします。これが年間6000件ほどあり、そのうちの10%強が処分の全部ないし一部を取り消されています。納税者とのトラブルを抱えると、税務署も大きなダメージを受けます。裁判を起こされたら、裁判資料の作成に忙殺されることになります。そのため、表には出ませんが、納税者が強気に出たとたんに処分が変わることも多々あります。

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