中学受験にチャレンジする前に
私自身は公立中・高出身だけど、時代は変わっているのかな?
娘はこれから小学生。小学受験は全く考えていないけど、中学はどうしたものか。
私立の選択はファイナンシャルプランに直接影響するからなぁ。
(私が読んだのは第四版)
●いい学校とは
<授業や設備について>
・いい学校 – たとえば授業や勉強に関して、こんなことが目につきました。
-「書くこと」を重んじている。レポート作成や論文などを書かせる機会が多く
– 大学進学実績をあげるために効率よく勉強させるより、21世紀にそれぞれの分野でリーダーシップがとれる人材になれるような力をつけることを目的に授業している。
– 中学のときは成績を発表しない。通信簿は絶対評価で、成績分布表が渡されるだけなので成績に一喜一憂しなくてよい。
・カナダ、ハワイ、中国など、外国へ派手な修学旅行を繰り出して、生徒たちをひきつけるという学校は減っています。いい学校ほど、地味なありふれた行事を生徒たちの自主に任せて、成長のいい機会をとらえて見守りつつ、盛大におこなっています。体育祭、文化祭、海浜教室、アウトドア、郊外施設での合宿など、従来通りのあまりお金がかからない行事をきっちりやっています。クラブ活動には力を入れています。中学校では100%加入を奨励している学校が多かったのです。それだけ、人間関係能力の不足しがちな生徒たちに、先輩たちと触れ合うことで成長させようという意図が感じられました。
・すばらしい設備があることを自慢する学校でいい学校はありませんでした。いい学校ほどごく質素でシンプルでした。
・今もっとも人気があがり進学率も伸ばしているのは、郊外にある男女共学の私立進学校です。特徴をあげてみます。
進学指導がしっかりしている。
週6日制(学力をつける)。
男女共学。
制服も校則もあるが、比較的リベラル。
郊外にあって通学しやすい。
原則にかえれ ということなんだろうな。
華美に流れず、そしてしっかりとグローバルスタンダードを見据えた教育。
頭のいい生徒なら、表面的なブランドや楽しさではなく、
本質的な学生生活の楽しさが理解できるから、ついてこれる。
<生活とモラルについて>
・「学力を下支えしているのは、学校のきれいさであり、教師と生徒たちのクラブ活動などを通した信頼関係だし、落ちついた地域で地域の人が見守ってくれる環境です。学力をあげるために授業時間数をいたずらにふやしても、一部の生徒の学力はあがっても多くの生徒たちは荒れるでしょう」子どもたちの学力を守るのは、大人なのです。
・宗教を失っている日本では、生徒を律するには文武両道のスパルタや聖心主義、あるい女子校ならば礼法やお茶、お花などの時間や、あとは校則などのルールで縛りつけるしかありません。そして生徒の自治や自律に任されます。かくして、そうとうセルフコントロールができて、他人を思いやり、ルールを遵守することができる生徒が大勢いる学校以外、放埒になりがちです。
・今回取材した学校は、そういう、学校内だけで通用するふしぎな常識を許していないところがほとんどでした。生徒の自由と自律を尊重しながら、ルールと規律が守られていました。それが可能なのは、微妙ですが、いい意味での選良意識を生徒たちに与えているからではないかと思いました。
・平然と「エリートを育てる」「社会をリードする人材を育成している」という学校もあって、それは今日本が階層化社会になりつつあるのと呼応して、以前よりふえたような気がしました。そういう選良意識を植えつけられることがいいことかどうか、いささか疑問はありますが、今のところそれしかルールを守らせる手だてがないのです。付け加えるとすれば、自由を標榜する学校はやはり放任になりがちでした。
この選良意識については、
差別意識の温床となる危険性を考慮してか著者はとても慎重な書き方をしている。
けれど、「ノブリスオブリージュ」という言葉を知れば、
とくにその心配は無用のような気がする。
モラルが維持される社会では、悪い印象をもって語られる「学歴エリート」には
決して陥ることはないし、
学校側も、その点について十分に配慮していることがわかった。
●私立中受験の状況
・今や、中学校への総応募者数と募集人数は拮抗しています。もはや募集人数が集まらない学校が少なくないのです。全入にしている学校もじつはたくさんあるのです。確かに、人気校は募集定員以上に応募者を集めています。進学塾で3年も4年も勉強して入れるというきびしさです。親も塾にあおられて、人気校に集中しがちです。いわゆる偏差値で60以上の学校は2〜3倍、50台で1〜2倍、それ以下であるとかぎりなく1倍に近くなって全入になっていきます。
・この倍率をみると、私立中学入試そのものは緩和されていることがわかるでしょう。それでも数年前よりいっそう競争が激化している印象をうけるのは、進学塾の保護者への喧伝とプレッシャーのうまさがあります。
・他大学受験をしてもし落ちても、併設の女子大学に進むことができるという「特典」を有して、他大学受験をさせることにいち早く踏み切ったのは共立女子でした。これはひじょうにインパクトのあるやり方でした。それまでは、併設の大学に進む特典を手離さなければならなかったのです。
<新御三家>
・かつて、御三家に追い抜こうとする新御三家は、巣鴨、駒場東邦、海城でした。もちろんこの三校の位置は変わりませんが、新御三家のなかでもいちば一頭地抜いているのが今の駒場東邦です。
<カトリック>
・日本のカトリックの男子進学校では、修道会イエズス会による栄光、全寮制をとる鹿児島のラ・サール、やはり神奈川エリアで人気があがっているサレジオ学院、大阪の関西学院などがあります。女子のカトリック進学校では雙葉、白百合、聖心、晃華などがあります。
大学受験もふくめて、私たちが子どもの頃に比べると、
遥かに「かんたんに入れる」状況にある。
ただし、今難しいのは費用の問題が簡単ではないということ。
結局、いつも「難しい」状況に起これているのは私たちの世代だ…。
昔と違って、今はお金さえあればいい教育をあたえられる時代にある。
問題は、そのお金をどうするか、なのだ。
これは子どもの問題ではなくて親の問題だ。
そしてまた、お金さえあれば子どもをいい学校に行かせられるという状況が、
「親の変化」(親の質の低下) の一因になっているようにも思える。
●女子学院
・「あなた方は聖書をもっています。だから自分で自分を治めなさい」この矢嶋先生の言葉によって、生徒による自治で学院は支えられていました。
職場のすぐ近くにあるのが、ココ。
ちょっと興味あるが、ミッション系なのかぁ。
この時代に聖書を拠り所にして教えるというのは古いような気がして、
ちょっと気がひける。
●桜蔭
・「女子に高等教育の門戸を広げたい」と考えた東京女子高等師範学校(現お茶の水女子大学)同窓会・社団法人桜蔭会が、1924(大正13)年に創立した…
・戦前の大学は女子を締め出していました。お茶の水女子大学と奈良女子大学が女子の最高学府でしたが、当時は高等師範学校でした。女学校は裁縫などの実学や語学教育が中心でした。
「勉学ひとすじに見られがちですが、桜蔭生のよさは勉学だけではありません。いろんなことに気配りできる女性らしさを失っていないのが、桜蔭の生徒だと思っております」その象徴的なものが建学の精神にもある礼です。中1では「礼法」の時間があり、校内に和室の礼法室があります。
ここは、いいなと思う。
宗教的にニュートラルだし、それでいて礼法を教えている。
文京であれば、住んでいるところからも、そう遠くない。
●麻布
・「以前に比べると大人になるのが遅いんです。とくに中学生がかつてより格段に手がかかります」「保護者も変わりました」「極端な例ですが、『判例集』まで持ち出して、わが子の正当性を主張した保護者もいたんですよ。こちらは相談したいと思っているのに受け付けないんです。」
・取材のあと、氷上校長先生に図書館を案内していただきました。開架式の図書館には、新刊の知的刺激をそそる書物がずらりとそろえてありました。ブルーの長椅子にひとり、大柄な生徒が正々堂々眠っていました。氷上先生がそっと起こすと、あっという表情を一瞬浮かべましたが、また平然と寝入ってしまいました。その生徒を見る先生のあたたかいまなざし。校長先生と気づいても堂々と眠れる生徒に微笑してしまいました。
・「伝統は今築いているものです。過去のものは栄光です。だから今を創っているわれわれ教師や生徒、保護者がどうすればいいかと言えば、今をだいじにするしかありません」
寝ていた子どもが、校長ともフランクに話せるという意味なのか、
単に崩壊しているのか、そのあたりはちょっと気になった。
●開成
・「定点観測すると、さがっています。でもそれは学力低下ではなくて、彼らの習得するものが多いということです。彼らにとっては、減反やオイルショックもすでに過去の歴史です。社会の変化は激しいのです。歴史などの知識は落ちても、その代わりパソコンが扱えて、音楽の素養があって楽器も上手に弾きこなします。英会話もできます。そういう意味で学力・能力が落ちているとは感じません」
・「中学生のひとりひとりが手間ひまかかるようになりました。生徒も弱体化して変わってきていますが、いちばん変わったのは保護者ではないでしょうか」「生徒は親離れするけれど、親の子離れは遅れています。学校に任せておけないのかもしれない(笑)。なにかあればすぐ学校に来るし、電話もかかってきます。われわれ教師は歓迎していますが、PTA活動も活発になって、保護者による広報誌作りや講演会も催されています」
さすが開成の教師だけあって、頭がいい。
この人の言う事、ほんとうにそうだと思う。
●灘
・灘はすでに東大を飛び越え、グローバルな大学入試へと一歩先んじているようです。
●渋谷幕張
・「東大に入るのに、もっともお金がかからない学校だと言われています」
共学がよいのであれば、
経済的な意味でも、距離的な意味でも、私立を選択するなら、
ここはちょっと考えたいところ。
文化祭とか、連れて行ってみようかな。
●公文国際
・「摩擦もあります。小競り合いもあります。いろんな生徒が互いに刺激しあっています。この学校では、自分の個性を出しても排除されないという安心感があるからね生徒はのびのびしているんです」
・「学力をそろえて、男子だけ、あるいは女子だけとするなら指導はラクです。いろんな生徒がいれば指導はむずかしくてリスキーです。でもだからこそ、生徒たちは異質の他者を受け入れることができるようになります。いろんな生徒がいていいというスタンスで、やりたいことができる自由を保証すれば、生徒たち自身で自分たちの問題を解決する能力は高くなります」
・2/1は第一志望にしたい学校が目白押しです。新設校はその日をはずすのがふつうですが、あえてぶつけたうえに、推薦入試方式です。第一志望にした子を取りたいという強い意欲が感じられます。
・「小学校6年のペーパーテストでの学力なんてあてにできません。きびしくトレーニングすればクリアできるていどの学力です」「算数、国語の2科目にしたのは基礎力を見るためです。難問奇問は出していません。国語は読ませて書かせる記述が多いです。社会、理科はテストしても瑣末な知識を覚えさせるだけなので、していません」推薦では面接重視です。そしてその自信がすばらしい。「その子を見ればどんな子か、勉強の素質も含めてわかるものです」
・公文国際では、中1の4カ月間、全員に寮生活を体験させます。4月から7月までに半数、9月から12月までにもう半数。修学旅行と同じ位置づけで全員が参加しています。寮は男女別で、中学生は4人部屋、高校生は個室と決まっています。
完全な全寮制なら、ここもちょっとおもしろい。
ネームバリューはいまいちな気がするけれど、
よい教育をうけさせてあげられそうな気もする。
●桐蔭学園
・授業料は高いが、それに見合った進学指導が受けられる
・じつは桐蔭の学費は安くありません。初年度納付金は入学金をふくめて120万円ほどかかります。
・江戸川取手はさまざまな点で桐蔭と似ています。桐蔭と同じく規律を重んじています。
その時点で成績のよくない子どもでも、
しっかりとポテンシャルを引き出し、いい大学に入れてあげられる。
ただし、お金さえあれば。
田園都市線沿いに住む経済的に豊かな人たちの子息向けという気がする。
結果的に子どもたちが優秀になるのだから、批判されるべきことではない。
とてもいいビジネスをしているなと、思う。
●駒場東邦
・駒場東邦は、現代の親のニーズにぴったりあった良質の学校だと思います。わが子を安心して託せる学校だという判断で、大人びた子が行く麻布や筑波大付属駒場より駒場東邦を選ぶ親が徐々にふえていましたが、それも当然です。
・「現代人はずっと自分探しをしていますが、自分自身がどういう人間なのかということは、ひとりではわかりません。友達がいて、先輩がいて、自分との違いがわかって、はじめて自分はなにをすべきかわかるのです。それが自分自身の発見につながります。個性というのは、まわりから作られる、にじみ出てくるものだと思うのです」
・「文化祭では食べ物を扱わないのが決まりです。ところが生徒たちから『食べ物の販売をしたい』という要望が出ました。そこでまず、食べ物店を文化祭で開く意義をレポートにまとめさせました。それが納得できる内容だったので、食べ物を販売をすることで起こる問題点を考えさせて、さらにレポートにまとめさせました。顧問からもこういう問題があるのではないかと提示して、生徒はそのことをつぎつぎ考えていきました」
このレポートを書かせるという教え方は、とても素晴らしいなと思う。
個人的に、自分の子どもにやらせてみたい。
これは、企業に入ってからでも十分に使えるスキルになるだろう。
投資家や上司を説得する企画を書く。それとても重要。
●お嬢様学校 聖心と白百合
・進学校化のなかで創立の理念を堅持して、小学校からのゆるぎなき一貫教育をしている「ほんとうのお嬢様」の学校です。聖心は、今も聖心女子大学へ半数ほどが進みます。しかし他大学受験をする子は、すばらしい進学実績をあげています。いっぽう白百合は、すでに有数の進学校として知られています。白百合女子大学へ進学する生徒のほうが少数です。しかし学校の雰囲気、方針には変更がありません。この二校は、多くの私立が大学進学実績をあげることに躍起になっているなかで、悠々とわが道を進んでいます。そこにほんとうの私立らしさを感じました。中学からの応募はごく少数です。そもそも二校とも小さな学校です。しかし名前がとどろくのは、底知れない魅力があるからでしょう。
本当のお金持ちがいく学校ということかな。
でもミッション系なら、お金があったとしても、あまり興味がない。
唯一価値があるのは、そこで知り合う友達という人脈なのだろうか。
●公立進学校
・さらに注目されるのが、公立中高一貫校です。ここ数年でたくさんの学校が開校される予定です。すでに開校した学校もあります。全国では数年前からできています。県立千葉高校や静岡県の浜松北高校など、その県で有数の進学校が中高一貫校になっています。
・ところで私の子どもの場合はというと、90年代半ば私立中学を取材して、あまりの倍率の高さと、通塾時間の長さ、そしてわが子はふたりとも女の子なので、当時の私立女子校の多くが進学校化への取り組みが遅れていたことなどもあって、公立コースで行くことに決めました。私自身、地方の進学高校でそれなりに居心地がよかったという記憶があって、男女共学で自由な校風の公立校に対して信頼と親近感があったのです。この選択がよかったかどうか。ふたりとも公立中、公立高と進みましたが、ひとりは卒業し、ひとりが在学する今も結論はでません。しかし体験から言って、私立中進学塾は、公立に行ったら未来はないような言い方で保護者を脅して追い詰めますが、そのようなことはありません。
・公立の進学校には、公立中学でリーダーシップをとってきた骨太で人間的にもスケールの大きい子どもたちが入っています。
・国公立を出た優秀な先生が多いのですが、数年ごとに転勤があるので、学内の行事に一致団結して取り組むということもありません。進学指導や授業についても、それぞれの先生の裁量に任されているのです。
千葉校が中高一貫校になったのは、知らなかった。
これはちょっと調べる価値がある。東葛のような自律文化の高校もある。
この、「骨太の人間が集まる」というのは、
私自身も一応公立進学校と呼ばれるところにいたので、よくわかる。
母校の大学進学率はそんなに高くなかったけど。
また、筆者の娘がいずれも公立という告白はちょっと興味深い。
第一志望に落ちたからそうなったのか、積極的に公立を選択したのか、
そして高校卒業後の進路がどうなったのか、そのあたりを書いて欲しかった。
といっても、お子さんのプライバシーを考えると、それは書けないのかな。
あるいは、この後の最新の版には書かれているのだろうか。