下流社会マーケティング

総中流化から階層化の時代へ
上15%下40%時代のデザイン力とは?
ベストセラー『下流社会』の著者が解き明かすヒットの新法則


マーケティングリサーチの本として読んでみたのだけど、それよりも、自分がどの世代カテゴリに含まれどんな特徴をもっているのか、それが理解できたのがよかった。
また、同じ生年であっても、親の年齢がことなれば、マーケティング上の世代カテゴリも変わるということや、団塊世代を父親の世代別にニセ団塊と真性団塊に分けているあたりも興味深い。とくに車の趣向、選び方をみていると、世代の特徴がよくわかるというのがとてもわかりやすい例示だった。

●ブランド好きで消費好き。派手な性格の新人類世代
新人類世代は、高度経済成長期に進んだ中流化の流れの中で生まれ育ち、物質的な豊かさを求めるという特性をもっています。今でも『VERY』『STORY』という雑誌を開くと、車は必ず外車で、結婚していて子どももいるのにファッションは若いOLのようです。そして時には、子どもを旦那さんか親にあずけて、六本木か銀座のバーに出かけたりする。あるいは自宅でもお気に入りの食器をそろえて、しばしばパーティを開いたりする。そういう、とても見栄っ張りで、人に自分の暮らしを見てもらいたいという気持ちの強い人たちだといえます。
●新人類世代の特徴(60~68年生まれ → バブル)
・高度成長期育ち = 物で幸せになれる
・生活水準の向上を実感するのが好き
・派手好き、個性志向、ネアカ
・欧米志向、本物志向、高級志向
・ブランド好き、見栄っぱり、外車好き
●真性団塊ジュニア世代の特徴(親が団塊世代の割合が高い75~79年生まれ)
・現状肯定志向(上昇志向がない。郊外中流平等均質社会育ち)
・自己最適化(他人と競わない。自己満足。自分らしさ志向。他者意識が弱い)
・自己関与性(プロセス重視。時間消費)
・リラックス志向
・空間の居心地志向
・レトロ志向(未来志向が弱い)
・ミックス志向(新しいものより編集・組み換え)
・レア志向
・デザイン志向
●ニセ団塊ジュニア世代の特徴(親が団塊世代でない場合が多い71~74年生まれ)
・慎重
・堅実
・目立つのが嫌い
・ベーシック
・なごみ、いやし
・上質、上品
・シンプル
・長く使っても飽きない

自分は、75年生まれではあるものの、三男で父親が昭和ヒトケタ世代のおわり。だから三浦氏流にいうとニセ団塊世代に含まれることになる。
●ファミリー市場から総シングル市場へ / ファミリー消費から総シングル消費へ

・夫婦と子どもの世帯
1955年750万 → 1980年1508万 → 2010年1425万
・単独世帯
1955年60万 → 1980年711万 → 2010年1373万
・夫婦のみ世帯
1955年118万 → 1980年446万 → 2010年1054万
・一人親と子ども世帯
1955年168万 → 1980年195万 → 2010年429万
・30~49歳未婚者
1955年87万 → 1980年299万 → 2010年970万
自分の問題は自分で解決しなければならない社会
家族でさえ、シングル消費化していく
頭が痛くなったり風邪をひいたりしたら、自分でドラッグストアに行かなくてはいけない人が、どんどん増えているわけです。仮に結婚していても、夫と妻では使う薬が違っているかもしれません。そのため、旦那さんが風邪をひいたとき、奥さんが買い置きしてあっても役に立たないかもしれません。そもそも奥さんもキャリアウーマンで家にいないかもしれません。

●おまけ : 広告代理店とシンクタンクの使い方

広告代理店はクライアントに文句は言えないということです。たとえクライアントが間違ったことをしていても、広告代理店は「それは違いますよ」とは言えない。「間違っているのに」と思いつつもそれを口に出さずに、どう売ろうかと考えるのが代理店の仕事だからです。ということは、広告代理店のレベルはクライアントのレベルに比例するということです。クライアントがアホならば、代理店の担当者もアホになるしかないのです。クライアントは代理店をもっと賢く使わなければならない。自分の問題意識を検証し、裏付けるために代理店を使うべきなのです。これでいいのか、本当にこれで売れるか、もっと売るにはどうすればいいか。こうした問いを代理店に投げかけ、研究・調査はもちろんのこと、とことんアイデアを出させることです。同じようなことはシンクタンクにもいえます。

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