腰痛ガイドブック

根拠に基づく治療戦略
世界の腰痛ガイドラインが推奨する新しい七つの戦略で突破口を開く。
すべての鍵を握るのは、腰痛にまつわる真の知識(リテラシー)
腰痛神話の終焉!!
あなたを強力にバックアップするサポートCD付き
Evidence Based Medicine For Your Back Pain

腰痛のあるすべての人に進めたい一冊。
活字が苦手な人でも、内容をすべて読み上げてくれるCDブックがついている。
かなりオススメ。
ちなみにこのCDの声は、攻殻機動隊の草薙素子、
Twenty Fourのオードリー・レインズの声優、
田中敦子さん。

文章構成そのものも、攻殻機動隊の世界にいるような、草薙素子に言われているように感じるような書かれていて、不思議な感じ。。
ナレーションで、時々はっきりした断定的な口調で「しなさい」と言ってくれるところも、勇気と自信がわいてくる感じで、いい。
あと、p53のストレスの評価尺度、これわかりやすいし、何か他のことにも使えそう。

・すべての腰痛診療ガイドラインが、心理社会的因子を重視すべきだと勧告しています。
・医学会はこの20年の間に、「生物学的(物理的・構造的)損傷」という機械的なモデルから脱却し、さまざまな要因によって生じる「生物・心理・社会的疼痛症候群」として腰痛を捉えるようになりました。
・人類は情報の真偽を見抜く能力、いわゆる「メディア・リテラシー」をおろそかにしたまま、急速に情報化社会を拡大させてきました。そのおかげで、メディアによる行き当たりばったりの健康情報や、ネット上に氾濫する時代錯誤の情報を鵜呑みにする人があとを絶たず、腰痛に対する不適切な態度と信念が蔓延してしまいました。
・アメリカの思想家、ラルフ・エマソン曰く
  恐怖は常に無知から生じる
・腰痛の第一選択薬は、「安静」ではなくて「安心」ですから、今時、腰痛患者に安静を指示する医師など、どこを探しても見つからないはずです。
・根拠のあいまいな健康法やサプリメントに投資する人が多いようですが、これほど広範囲な健康問題に有効な万能薬は、運動のほかには見当たらないでしょう。
・アメリカの神学者、ラインホルド・ニーバー曰く
  神よ与えたまえ
  変えられないものを受け入れる心の静けさを
  変えられるものを変えていく勇気を
  そしてこのふたを見分ける叡智を

全体的な感想としては、次の三つ。
1. 心構えや、その成り立ち、一時的な痛み止めの薬の使い方や運動が有効なことにいたるまで、腰痛というのは、うつ病や風邪とそっくりの病気、そして対応が有効なんだと感じた。
2. 腰痛対策の世界でも、機械論パラダイムの時代は終わり、生命論パラダイムに移行したのだと感じた。
3. 逆にいうと、人間の体を機械としてとらえる西洋医学で原因不明な他の病気、たとえば偏頭痛なども、腰痛と同様の、もっとホーリスティックな複雑系的なアプローチによって、解決できる時代がすぐそこまできているのではないかと、思った。
それから、ここでもまた「メディア・リテラシー」という言葉が心に留まった。
これに関する何かが、自分を動かそうとしているのかも知れない。

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