テクニック編
「参考書は何をどう使うか」から、
効率のいい勉強法・生活術まで
彼の受験マインドは、大人になってから受ける資格試験
(とくに長期間の勉強が必要な難易度の高いもの)
にも使える。
●戦略(志望校の決定)
・志望校の入試問題は、受験勉強をはじめようと思ったその日にとりあえずやってみることだ。
・二回目の冬休み なかには、この時点になって、赤本のテスト結果が悪かったりすると、急に第一志望をぐらつかせる者がある。しかしここまできて志望をぐらつかせるのは、マイナス面が多すぎる。いままで、入試当日にそなえて、勉強はフルに加速してきた。この時期は、最高に加速度がついているはずだ。ちょうど、発射されたミサイルが、目標に向けて、到達寸前の状態にあると思えばいい。この時点で、急に目標を変更しようとするのは、自殺行為も同然。どちらの目標もそれて外れてしまうことになりかねない。
・この時期にはまえの理由から、志望校をあきらめる受験生が続出するので、競争相手が減り、黙っていても合格可能性は、高まっていく。受験はサバイバル戦だ。この最後のデッドヒートで、競争相手がバタバタくたばりはじめるところから、受験は、ますます面白くなっていくのだ。
・有名大学の”看板学部”の試験日と同じ日に入試がある他大学を受けるという方法がある。早稲田なら政経、慶応なら経済、明示、中央なら法科、といったように、有名大学には、受験生が集中する人気学部があるものだ。それらの学部と同じ試験日の大学は、予備校などが勝手に決める偏差値ランクより、実際はずっと受かりやすくなっている。まさに穴場といっていい。
・関東の大学は、偏差値ランクよりはずっとはいりやすく、関西の大学ははいりにくいのである。それは、関東には早慶という他の私大より抜きん出た二大私立大学があるからだ。明治や立教に合格した受験生のうち、数千人は、早稲田、慶応に入学するから、実際は、上がゴソッと抜けることになるのだ。模試のときは、早慶に行く彼らも、第二志望以下に明治や立教を書くから、これらの偏差値がそれだけ水増しされるわけだ。
・通常の受験生がセンター対策のどれに時間を割いているかというと、英・数・国の順になっている。しかしみんなこの三科目で点数を稼ぐのだから、これらの科目ではあまり差がつきにくい。合否のカギを握っているのは、これ以外の理科や社会だ。
私の子どもたちが受験する頃には、まただいぶ変わっているんだろうな。
そしてまた、こういうことを知っていると、
現時点の学歴を学校名で判断することの無意味さもよく理解できる。
偏差値というモノサシで学歴をみても、実際には何もわからない。
●学習の原則
・率直にいって、いまの受験の成否を決定するのは英文の読解力と、数学の計算力のふたつである。とにかくこの二つだけはしっかり鍛える必要がある。
・できない受験生ほど自分の勉強時間を気にするが、だいじなのは”勉強量”であって勉強時間ではない。こういう時間中心のセンスが、応用問題一問を、三時間半もかかって解いたといって喜ぶバカ勉強につながる。
・復習をするときは、バカ正直に、月曜に覚えたことからはじめず、逆に土曜に覚えたことからさかのぼって、月曜にもどっていくようにする。なにも無理に、忘れかかった記憶からとりかかって苦労することはない。最初に新しい記憶を思い出していけば、順々に、糸をたぐるようにして、以前に覚えた暗記貯金にたどりつくことができる。
逆にいえば、英語と数学と小論文だけできれば、
どんなつぶしもきくということになる。
そしてこれが、私たちが子どもたちに教えることの全てだ、とも言える。
●環境とツール
・勉強部屋にベッドを置くな 勉強部屋にふとんが敷いてあったり、ベッドを置いていると、寝るまではいかなくとも、つい寝ころがりがちだ。ベッドは片づけて、フトンは朝起きたら、すぐにたたむ習慣をつけることだ。
・鉛筆は捨てろ、サインペンを使え 鉛筆は消しゴムをとワンセットにして使う、きれいに書くための道具だ。鉛筆で書くと、ついつい間違ったところを消したくなるが、この消しゴムを使う時間、労力はムダとしかいえない。
・消しゴムを使うことができないから、英語のスペルを間違えても、そのまま残るが、そのほうがその間違いをあとからチェックしやすい。間違いの残ったノートを作るのが受験に勝つコツである。
・私が使っていたのは「京大式カード」
・参考書、辞書、教科書などでカバンをいっぱいにして電車にのるのは、荷物が重くてしかたないし、とくに通勤電車の混雑のなかでは、車中勉強のジャマになってしかたがない。そこで私は、教科書、参考書をそろえるときは、かならず二組用意し、それを一セットずつ、学校と家に置いておいた。たとえば英語の辞書は二冊、教科書も、先輩からワンセットもらって、二組用意しておいた。かりに二組の”七つ道具”全部を買っても、せいぜい二万円前後だ。そのぐらい親に要求してもバチは当たらない。浪人すれば、それこそ何十万もかかるのだから。
・歌詞がないといっても、ロックやモダンジャズは、急に音が大きくなったりするのでダメだ。
消しゴムを使わないというのは、とてもいい考え。気づかなかった。
それから、教材を二セットそろえて同じものを置いておくといのうのは、とてもよくわかる。
これ、私もよくやる。
●試験技術
・試験会場であがったと思ったら、可愛い女の子を探せ 「この学校に受かれば、あんな可愛い女の子と友達になれるのだぞ」と、一生懸命、自分に暗示をかけてやればいい。
・試験会場には、一駅まえで降りて歩いていけ 歩行のリズムは、頭の中の思考のリズムと相関する部分があるから、なるべくリズミカルに歩くといい。
・午前中の試験が終わったら、すぐにメシを食え ベストの方法は、早めに昼食をとってしまうことだ。午前中の試験が11時に終わったとしたら、正午を待たずに、すぐにメシを食ってしまえばいい。昼食は、弁当を持参するのがいちばんいい。
・ホテルの部屋は乾燥しているので、空調機の吹き出し孔に濡れタオルをかけておくといい。こうすると、喉をやられるのが防げる。
・セオリーとして、小問のある問題は捨ててはいけない、というのことがある。これは数学であろうと英語、国語であろうと共通していえることだ。小問のある問題の場合、最初からいきなり難問がくるという例はまずない。小問の最初は、ごく基本的な問題がくることが多い。
・数学の試験では、まずどの一問を捨てるかを考えよ たとえば東大理系の数学の場合だと、多くの年で「基本」が二問、「標準」が三問、「やや難」が一問という配分になっている。
・英語の長文問題では、段落ごとに要約を走り書きせよ
・英語・国語の長文問題や英語のヒアリングでは、必ず設問を先に読め
この辺りは、大学受験に限らず応用できる話。
大人が覚えておいても損はない。
●英語
・イングリッシュ・アドベンチャーは、会話文と地の文が適度にまじっており、テキストを読みながら、同時に、ストーリー展開を聞くことができる。そのストーリーは受験生程度の英語力で、じゅうぶん理解できるものだ。
・英語では、『英文解釈教室』など、分厚い参考書で名著といわれるものは絶対に使ってはいけない。しんどいばかりで、得点力はなかなか上がらない。こういうほんとうの英語の名著は、大学の英文科にでも進んでからゆっくりやればよい。
・英作文を”国語力テスト”と考えれば多少の道は開ける。英語をひねるのではなく、出題の日本文を自分の知っている英短文の型に置き換えるのである。
私の時代、高校教師はこういうこと、何も教えてくれなかった。
こういうことこそ、学校で教えて欲しかったなぁと思う。
●数学
・私がアンダーラインの代わりに活用したのは、「付せん」だ。たとえば、私は数学ならチャートで覚えていない問題のページに、市販の黄色い付せんをどんどん貼った。最初のうちは、全ページに近いぐらい付せんを貼ることになる。この量が自分の暗記の総量をはっきり明示してくれるのだ。覚えたあと、付せんをはがすのは、じつの気持ちのいいことだ。
・起き抜けに、三題でもいいから計算問題を解いて、頭を起こせ 私は、これを”頭のラジオ体操”とよんで、毎朝励行していた。計算力はスポーツと同じで、頭というより反射神経の分野だから、毎日鍛えないと、どんどん低下する。
確かに、○✕△をつけるより、付箋の方がいい。
これ、採用。
●古文
・入試に出る古典は、徒然草、枕草子など、おおよそ20ぐらいだ。しかし、そのひとつひとつを、いちいち原文で読んでいったら、膨大な時間を消費してしまう。その作品を通して読むのは、その作品の人間関係、社会背景などの”鳥瞰図”を頭のなかに作りあげるためである。それなら、わざわざ、原文を解釈しながら読まないでも、現代語訳という、まことに便利なものがある。とりあえず、現代語訳を読んで、作者、登場人物、社会背景のイメージを、頭のなかに入れてしまうといい。
あさきゆめみし を漫画で読んだ記憶がある。
今はもうまったく忘れてしまったけど、まあこんな話なのか、という理解はできた。
枕の草子だとか、他のものも暇つぶしに読んでみようかな。
現代語約なら、読む気もする。
ロシア文学などの古典を学ぶなら、
日本人としては、日本の古典を読んでおくのも、いいと思う。
●国語
・受験科目の中でいちばんレベルが高く、センスが要求されるのは国語なのである。また意外な感じがするかも知れないが、国語の出来不出来が、当落を決する場合が多いのだ。
・寝るまえの、五行日記を習慣にしろ
・灘高時代の同級生に、少女マンガフリークのグループがいた。その連中は、おしなべて国語がよくできたが、これはけっして偶然ではない。少女マンガを読むと、小説を読むのと同じような効果がある。おかげで、たんに気晴らしになるだけでなく、けっこう国語の勉強の役にも立つのである。
高校時代、アウトローの世界に魅せられたために、脱線してしまった私。
授業をさぼりすぎて、赤点ばかりだったけど、
現代文のテストだけは日本語の知識だけでテストが受けられたために、
何も勉強する必要がなく、偏差値が80とか70超が普通だった。
これは、自慢してよいことだったのか。。
●物理
・熱という単元は物理のなかで、異様に簡単な単元だ。公式も少なく、出るとこも状態方程式、定積変化、定圧変化あたりと相場が決まっている。東大でさえ、状態方程式にそのまま代入すればいいような問題の出る単元だ。だから20時間ほどで、30問も覚えてしまえば、まずはとりこぼすことがなくなる。これがわからなければ、キミには物理のセンスがまつたくない証拠だ。物理での受験はすっぱりあきらめて、ほかの科目を勉強することだ。
●化学
・大学側が分子量を明示するのは、厳密には、C=12でもなければO=16でもないからである。なかには小数点以下5ケタまで、性格な分子量で計算する変人の受験生が現われないともかぎらないから、大学側は慎重を期して計算用の分子量を明示するわけだ。
●政治経済
・政治経済は、社会のなかの最大のカモである。
●授業
・一般に、英語のできない者は、英語の時間に、教師の話している日本語だけを聞いている。すなわち和訳や文法的説明だけを頭に入れているわけだ。ところが、それに対して、英語のできる者は、英語の時間に英語を聞いている。すなわち、英文そのものを少しでも記憶していく。この差が得点力の差を生む。頭のなかに英語が英語のまま、どんどんはいってくるようにするには、とにもかくにも、予習をしっかりやっておくしかない。
・受験生になったら、文化部はやめろ、運動部は続けろ たしかに、文化部は体は楽かもしれないが、意外に時間を食うのだ。運動部とちがって、男女一緒なので、楽しい面が多すぎるともいえる。
・教師というのは、生徒がコンタクトを求めてくると、わるい気分はしないものだ。むしろうれしがるといってもいい。この戦術の効果は絶大である。授業中、居眠りしていても、「夜おそくまで勉強してるんだな」と好意的に解釈して、大目にみてくれる。
・土曜日を特別な日と思うからいけないのだ。土曜日は、ふだんの日と何も変わらない。ただ、学校で勉強する時間が少なかったり、なかつたりするのに、それにたいして家で勉強する時間が多いだけと考えればよい。そのことをしっかりと頭に入れておけば、土曜に生活のリズムを狂わすこともない。
文化祭が重要だった私の高校では、これは厳しかっただろうなぁ。
私は、学校を場所だけで選んだので、何も事前情報を持っていなかった。
文化祭目当てで入ってきた人たちからしたら、私、しらけた奴だったのかも知れない。
もっとも、受験勉強の為に文化祭をサボるみたいなことではなく、
受験そのものにもしらけていたので、完全に浮いていた。
●予備校
・予備校には受験生にその教材をマスターさせるノウハウがない。大教室のぎゅうぎゅう詰めの講義でわかるほど、私たち凡人は頭がよくないのだ。ほんとうの得点力をつけようと思ったら、自分で暗記していくのがいちばんの早道なのだ。
・夏休みに予備校に通うな 予備校の夏期講習は受験生にとって、百害あって一利なしといってよい。せっかくの貴重な夏休みを、予備校通いで時間をつぶしていると、合格できるものも合格できなくなってしまう。予備校は、よほどいい授業にあたらないかぎり、”費用対効果”が低い。
これは、資格の学校に行こうという大人たちにも当てはまる話かもしれない。
TACなどの資格学校ビジネスにのっかってあげる必要は、ない。
●通信教育
・暗記受験術は、問題をみたあとで、すぐに解答を暗記するからこそ効果があるのだ。解答がわかるまでに、およそ二週間のタイムラグがある通信教育のシステムは、受験には役に立たない。
・Z会を利用する場合は、私がやったように、解答が届いた時点ではじめて問題を読み、すぐに解答ごと暗記してしまう。これだと、問題を解くムダな時間が省けるのはもちろん、模範答案中の模範答案を暗記できて、一石二鳥だ。長い時間をかけてZ会クラスの問題が一問解けても、制限時間のある実戦では役立たないのだ。
確かにこの視点、言われてみればそのとおりだ。
私も、確かZ会を高校時代に少しだけとってみた記憶がある。
でも、あまりにも難しすぎて最初の数ヶ月で何も手付かずで断念したのだった。
わからなくて当然なのだから、そうと割り切って、最初から解法暗記に徹すればよかった。
もったいないことをした。
●その他
・親父とは、月に一回まじめに話してみろ
まえがきにあるように、
異性との付き合い方からマスのかき方まで教えてるというのが、
この本のおもしろさだと思う。