深夜特急(3)

インド・ネパール

ついに、旅のスタート地点のインドへ。
スタートにつくまでに本3冊。
そこがまた、旅らしくて、いい。


アウトカーストの子どもたちのことや、
わずか数ルピーで自分の体を売ろうとする10才に満たない少女の話など、
とても切なくなった。

子供たちは食堂の床に坐り、洗面器のような食器に入った粥を舐めるように掬いとり、一滴もあまさず食べる。彼らにとっては、たとえどんなに粗末な食事でも、三食きちんと食べられるということだけで大変なことなのだろう。

ひるがえって自分の子を含めて、この日本の子どもたちをみると…
環境や条件の違いもあるし、そのまま比較することはできないのだけど、
複雑な気持ちに、なる。

便所で手が使えるようになった時、またひとつ自分が自由になれたような気がした。ガヤの駅前では野宿ができた。ブッダガヤの村の食堂ではスプーンやホークを使わず三本の指で食べられるようになった。そしてこのバグァでは便所で紙を使わなくてもすむようになった。次第に物から解き放たれていく。それが快かった。

この気持ち、わかる気がする。
私も..

インド人はいつも値切ってるようにみえるけど、彼らは彼らなりに相応の金を払う。金持は多く払うし、バクシーシーを進んで払おうとする。
ある時、キャロラインが、なぞなぞでも出すような調子で質問してきた。英語やフランス語やたぶん中国語や日本語にもあって、ヒンドゥー語にない言葉が三つあるが、それが何かわかるか。私が首を振ると、キャロラインが教えてくれた。「ありがとう、すみません、どうぞ、の三つよ」

インド人の厚顔さを描写したところがあったけど、
これはむしろ、見習うべきことなのかもしれない。

Breeze is nice.

三島由紀夫が、肉体を鍛えていれば太宰治も自殺しなかったかもしれないというようなことを言いましたが、僕も、とりあえず、こう言い切ってしまいたいと思う。怠惰とか倦怠の80から90%は、肉体的に健康で疲労が取り除ければ消えちゃうんじゃないか、ってね。

これ、ほんとにそう思う。