ビジネス分析による問題解決法

意思決定に充分な精度の「分析」でスピーディに問題解決を図る

論理思考の基本を復習するために。
どんな仕事であっても、ホワイトカラーじゃなくても!
働く人の基本中の基本となる知恵。

●原則

・ビジネス分析は、意思決定を行うためのものに過ぎないため、あくまで相対的なものでよい。学問上の分析のように、絶対的な精度は不必要である。極論すると「右か左か」がはっきりすればそれでよいのである。過度に精密な分析はほとんど意味がないのだ。そのような分析作業は、ビジネスマンの自己満足でしかない。
・重要なのは、分析の「ノイズ」(誤差)を無くして精度を上げることではなく、「事実」に基づいた意味合い抽出を徹底することである。実世界における「ノイズ」はいくら排除しても完全には取り去れない。
・また、結果が出ないような分析、あるいは圧倒的に時間とコストがかかり、意思決定には間に合わないような分析はさっさと見切りをつけ、求める意味合いを抽出できる代替分析を試みるべきであろう。
・分析をするということは「いくつかの事実(ファクト)から、それまではわからなかった意味合いを抽出すること」である。どのような事実からも何らかの意味合いは必ず出るものである。
・ビジネス上の分析は、やらなくてよい分析はできるだけやらない、という考え方が必要。常に「もしこの分析をやらなかったらどうなるか?」を自問自答しながら分析設計を行うべきである。
・知恵 別の平易な言い方をすると、まさに「問題解決能力」である。問題解決能力はどの分野においても必要とされるし、また応用可能である。キャリアディベロップメント上、最も重要であるといっても過言ではないだろう。このスキルさえ持ち合わせていれば、どんな業界のどんな職務でも遂行できると考える。
・「分析」とは、新聞で書かれているような単なる「事実」の羅列ではなく、常に So what?(「ということはどういうこと?」)という「意味合い」をセットで抽出するものでなければ意味がない。要は「意味合い」とは、「ある情報をもとに導出される、自社の打ち手・対策の方向性」、と理解すればよい。これが抽出されていない分析は、単なる情報の遊びか、表を作るという作業をしたという単なる自己満足の産物に過ぎない。
・仮説抽出は「無駄をしてもいいからより面白いものを見つけ出す」という『広く浅く』であり、仮説検証は「絞り込んで無駄なくピンポイントで証明する」という『狭く深く』である。

分析が自己満足に陥らないように。
そもそもの目的を見失わないように。
情報をこねくり回すだけの分析マニアにならなってはいけない。

●分析を行う上でのフレームワーク

・3C
Competitor(競合)
Consumer(市場・顧客)
Company(自社の強さ・弱さ)
・4P
Product(消費者への製品・サービスーのニーズは何か)
Price(競合の価格はどうか 消費者の価格想定はどのくらいか)
Promotion(プロモーション別の効果はどれくらいか)
Place(営業員の生産性はどれくらいか チャネル別のマーケットシェアはどのくらいか)
・分析→実行可能性の調査

これも、基本中の基本。
忘れがちだけど、忘れてはならない道具。

●テクニックと例

・大コスト項目の削減検討(例えばどの費目を削減ターゲットにするかをみる)
・時系列でのコスト構造変化(例えば人件費増加の事実から、その原因追求につなげる)
・競合ベンチマーキング(例えば利益の差がどの費目の差からきているのかをみる。有価証券報告書の費目ごとの細目内訳等から把握)
・変動費と固定費の比較
・切る
売上推移 → 市場規模+マーケットシェア
売上比較 → 営業生産性+売上規模
・分ける
売上推移 → 製品Aの推移+製品Bの推移
マーケットシェア → セグメント別のマーケットシェア
営業生産性 → 営業一人あたり営業トーク回数 +営業トーク一回あたり売上

日常から哲学的な思考とか分析的な思考をしている人間なら、
企画部門などで、それを会社組織にあてはめるのだって、そう難しくはない。
もしMBAホルダーなどとの差が出るとしたら、それはおそらく
「企業活動にはどんなパラメーターが存在しているのか」
という想定できる状況に対する知識と経験の差でしかない。
そういう意味では、本質的な分析能力(実務能力)と、学歴はあんまり関係がなさそうでは、ある。
逆に、集めるべき情報やパラメーターに関する知識を大量に持っているのに、
そこから意味合いの抽出(分析)ができない人は、多い。

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