栄養学各論

断片的に与えられる健康雑誌の情報ではなくて、
知識が偏らないように、体系的でまともな栄養学を、一度学んでおきたかったんです。
ということで、通読してみました。


以下のように成長過程に合わせた章立てで構成されていて、
とてもわかりやすいです。
・母性栄養
・乳児期の栄養
・幼児期の栄養
・学童期の栄養
・思春期の栄養
・成人期の栄養
・実年期・老年期の栄養
・労作栄養
・精神活動・ストレスと栄養
・スポーツと栄養
・特殊環境と栄養
とくに、幼児の父親である私としては、
乳児~幼児期の栄養のところがとても参考になりました。
また、自分自身が思春期に少し特殊な食事をしていたこともあって、
それがどういう意味を持つのか、確認できました。
●メモしたところなど
■乳児
・動物実験では、ビタミンA欠乏症・過剰症いずれにおいても奇形児が生まれるという報告がある
・動物実験では、ビタミンE欠乏により不妊、出生時の母親の死亡率の上昇、胎児死亡の増加などが起こると報告されている
・母乳栄養の場合、母親は毎回わが子を抱きかかえて乳頭をふくませる。その間母と子の目と目の距離約30cm。乳児の眼レンズの焦点距離に相当する。すなわち、子が母の顔をいちばんはっきり認知できる距離。
・最近の子どもには野菜をいやがる傾向がある。それは離乳期、特にその初期に野菜を与える場合必要とされる、「軟らかく煮る」「スプーンでつぶす」「おろしにする」などの調理が面倒なために、手のかかる野菜類を与えないことが影響している可能性がある
■幼児
・発育の盛んな小児にとってたんぱく質は必須な栄養素であり、質的にも成人に必須な9種類のアミノ酸にアルギニンを加えた10種類を摂取することが必要とされている。こうした必須アミノ酸は動物性食品に多く含まれるので、幼児期には全摂取たんぱく質質量に占める動物性タンパク質の割合を、1~3歳で80~75%、4歳以上では75~50%にすることが望ましい。
・多価不飽和脂肪酸は過酸化物を生成し健康障害を引き起こす恐れがあるので、生成をできるだけ抑制するためにビタミンE、C、あるいはカロチンなど抗酸化作用をもつビタミンを合わせて摂取することが大切
・2~3歳頃までは食べやすい形態にしなければならない。この時期は噛むことに努力が必要な食物をきらうことが多い。特に野菜などは繊維が硬いので、生食は避け、みじん切りや軟らかく過熱する
・味付けはうすい方がよい。香辛料およびコーヒーや濃い緑茶などの刺激物は避ける
・1回の食事時間はおよそ30分ぐらいが適当である
・3回の食事にも興味を示さない幼児が増えつつある。このような場合には間食の必要はなく、むしろ与えない方がよい。
・間食は砂糖を多く含んだチョコレートや菓子類、合成着色料や甘味料をしようしたものは避ける。
・2歳半ごろ 食べ物に好き嫌いやむら食いも出てくるが、叱ったり、強制はしないで空腹感を経験させるのも必要である
・年齢の進行とともに誰にも多少の好き嫌いは起こり、年とともに変化するもの。軽度の好き嫌いは発育に伴う一時期の現象とみなしてもさしつかえない。
・特定の食物を理由づけて強制したり、機嫌をとって食べさせるなどの親の不適当な養育態度は、それをきらうことで親の注意を引こうとして食べなくなる。
・親の偏食があると、幼児はそれを模倣してしまう。
・糖分のとりすぎは、インスリンの過剰分泌 – 糖分中毒を引き起こし子をダメにする。インスリンの過剰分泌は、やがてアドレナリン(攻撃ホルモン)を過剰分泌させる。
■学童期
・足のアーチができ上がるのは11~12歳頃
・糖質の多い米飯に比べてたんぱく質や脂肪の多い牛肉は胃滞留時間がおよそ2倍
・卵では半熟卵が最も短く、生卵はやや長く、ゆで卵はもっとも長い。胃滞留時間が長いのは消化率が低いことではなく、腹持ちがよいことを意味する腹持ちがよいことは空腹になることが遅れるので、食べすぎを防止する
・給食のない日は栄養に偏りが出る可能性がある
■成人期
・近年、結腸癌が増加したのは、脂肪摂取量の増加に伴い、消化吸収過程で胆汁中の胆汁酸の分泌が増え、大腸細胞を障害するためといわれている。
・前立腺癌、乳がん発生にも脂肪(特に動物性脂肪)摂取量の増加が関与していることは疫学的調査で示されている
・WHO分類では
  高血圧症 : 160/95
  境界高血圧症 : 140~160/90~95
・糖尿病の発症原因として、加齢により炭水化物摂取の比率が高くなる傾向
 糖質の過剰摂取による肥満がある
・揚げ物や炒め物を多く取ると脂肪摂取量が多くなり、 酸化や変性した脂肪酸の摂取量が増加する
■実年期・老年期
・骨格筋には瞬発力に強い筋力を発揮する白筋と、筋力はあまり強くないが持続力に力を発揮する赤筋がある。老人では、赤筋の方は比較的よく保たれ、歩行、山登りなどは老人になっても可能。
・パーソナリティの骨格は、加齢によってあまり変わらないという。歳をとってから今までと違った大きな性格変化が現れたら、まず病的変化を疑う必要があるという。
・歳をとると肝臓における胆汁酸の産出量は減少するが、コレステロールの産出量はかえって増加し、胆汁中への排泄も増え、胆汁中のコレステロール飽和度が上昇して胆石ができやすくなる
・成人の食塩最小必要量は1.3g/日以下であり、血圧値を上昇させる食塩摂取量の閾値は3~5g/日
■精神活動・ストレスと栄養
・生体がストレス状態にあるときは、エネルギーの供給とともに十分量のタンパク質を補給することが大切
■特殊環境と栄養
・温熱性発汗 : エクリン腺
 精神性発汗 : アポクリン腺(精神緊張・感動による)
なお、実際読んだのは第二版なので、第三版では修正があるかも知れない。
この分野は、新しい発見や技術の進化がめまぐるしいので。

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