夫婦脳

夫心と妻心は、なぜこうも相容れないのか

男女のことについては、この本の著者、黒川さんに多くを学びました。
最初に知ったのはセミナーの映像から。尊敬するお姉さまです。
新作を見つけてうれしくなってしまいました。
他に買ったばかりの本があったのに、優先して一気に読みました。


今回も、たくさんの学びがあった。
ありがとうございます。
●結婚について

・私たちは、生殖期間を超えて長く生きる種である。最後は、恋情とは違うモードで、誰かと寄り添わなくてはならない。つまり、人生は、どこかで、「ほとほと嫌になる」を乗り越えて、親友になる覚悟を決めなくてはならないのだ。それが、最初の夫であっても、いいのではないだろうか。
・生殖リスクが高い為、生殖相性の悪い妊娠を防ぐために、女性の警戒バリアが強く働く。しかし、そのままでは生殖行為に至れないので、フェロモン・マッチングに成功して発情したその瞬間から、一回の生殖に必要な一定期間(約三年)だけ、その相手にだけ警戒バリアを解く。しかし「あばたもえくぼ」状態は三年。ただし母親は息子に対して一生警戒バリアが張られない。

結婚に踏み切れないひと、婚外恋愛に淡い希望をもっているひと
そんなひとは、このあたりのことを一度考えてみるとよいかも知れない。
●ケンカの原因

・察しの悪い男性脳は、家事も、実際の1/3ほどしか把握していないのである。つまり、男が「家事を半分やっている」と思い込んでいても、1/6に過ぎなかったりする。
・男性脳は、ゴールが見えない事象に対する耐性が、女に比べて著しく低い。たとえば、ゴールの見えない女のおしゃべり。目的の場所になかなかたどりつかない、女の買い物。
・一方、目の前のことにとりあえず集中できる女性脳は、「先の見えないこと」への耐性が高い。逆に、ゴールへのコース取りをあまりうるさく言われるとかえって萎えていく

ああ、これはほんとにそう思う。
買い物に付き合うのが苦手な理由、ドンぴしゃりって感じだ。
●恨みがましい古女房を、無邪気な新妻に変える魔法(過去時間をことばで労うこと、未来時間を紡ぐこと)

・女性脳の反復癖を、上手に利用してあげたらいいのだ。コツは、女性脳に、負の記憶を紡がせないで、正の記憶を紡いでもらうこと。それにはまず、「妻が継続してやっていること」に言及(感謝)することである。
・女は褒めてほしいわけじゃない。わかってほしいのである。だから、過去時間をことばで労ってもらうことは、ことのほか心に響く。
・「おまえの揚げた天麩羅は、本当に美味しいなぁ」と成果を評価した後、ぜひ、「この暑いのに、揚げ物はたいへんだったろう」と経緯へのねぎらいも加えてほしい。
・負の記憶を想起させないためには、繰り返し未来を思わせる、という手もある。「何を着ていこうかしら」などと近未来の楽しみを繰り返し想起している間には、女性脳には過去の負の記憶を想起する暇がない。
・「きみに食べたさせたいピッツァがある」ということばを、デートまでに何度も思い出して、いい気分になっていてくれるのだ。こうして、デートの始まる前に、自分自身で、かなり気分を盛り上げてくれるのである。なので、デートの最初の、会った瞬間に、もう70%くらいの満足度に至っている。この予告作戦には、副次効果もある。「楽しみにしている期間」には、相手からの電話やメールの回数が少なくても気にならないのである。忙しい男子ほど、手を抜かない「予告デート」で楽をしてほしい。
・またこうアドバイスすると、「そこまで期待させてしまうと、実際口に合わなかったり、デートが延期になっちゃったときが恐ろしい」という男子がいるけれど、それは、ぜんぜん大丈夫。「時間軸の積分で情報を紡ぐ」女性脳にとっては、結果はどうであれ、楽しみにした時間は消えないのである。

この魔法は、すごい!
うすうす気づいてはいたけれど、もっと積極的に使わなければもったいない、と思った。
一週間前に計画をすれば、楽しみを7倍に高めることができる!
●ケンカになったら

・けれど、本当の原因は、キレた場所になんかないのである。「話を聞いてない!」となじる彼女の中には、絶望の種があるのだ。「この人は、私のことなど、もうどうでもいいと思っているのに違いない」という根源的な絶望。その絶望を直接口にするのは怖いから、女たちは、小手先のことでキレて、噛みつく。なので、前にも言ったけど、対処法はただひとつ。「君を傷つけているの? 申し訳ないことをしたね」と、その傷に優しく触れて、真摯に癒すことだ。
・なじる人は、傷ついている。そう気づくと、口を突いて出ることばも変わってはこないだろうか。家族にも、顧客にも、なによりも、なじるヒトに、「大切なあなたを傷つけてしまって、申し訳ない」と言えるオトナは、かなりカッコイイではないか。

ここ、自分が黒川さんに学んだもっとも大きなところ。
確か、前に何かのセミナー映像(テレビ録画)で「私と仕事どっちが大事?」の模範解答として学んだ。
ほんとうにそう。何度きいても自分はまだまだだなと、反省する。
だから、何度も何度も学ぶ。
●男心

・「男の子の兄弟間では、食事を出す順番を間違うな」とは、心理学者や教育学者も言う。
・さて、この家庭内秩序のトップに君臨させてあげるべきは、実は長兄じゃない。夫なのである。夫は、スーパー長男と心得よう。
・あるアンケートによると、「男が家族のために頑張る気持ちを失う瞬間」のトップに、「大皿に、残骸のように残された、自分のおかずを見たとき」というのがある。
・そうそう、娘しかいないご家庭でも、夫は立てておかないと、娘たちがそのやり方を知らすに息子を育てることになる。気をつけてくださいね。

娘に新しいご飯、自分に残りもののご飯が出てくると、
わかってはいるのだけど、何か残念な気持ちになる。
その理由が、これなのだ。
●女心

・女が「これにするわ」と宣言するとき、その選択に使った時間がほんのわずかだったとしても、一生分の「身体性の確認」を終えていると思った方がいい。男は、その決断を、まずは受け止めてほしい。感じる天才・女性脳は、比較検討をする前に、かなりの感性情報を収集している。ブツが並んでいる中から、一つだけに強く惹かれた場合、無意識のうちに、ちゃんと他を捨てているのである。
・女たちは、一押し提案が出来ない相手を「鈍感な人」と感じる傾向もある。女性上司や女性顧客への提案では、「あなたの一押しはどれ?」と聞かれたら、即座に答えられるようにしておこう。
・「あなたは、どっちがいいと思う?」このとき、妻の脳は、「たとえ夫が逆側を指さしても、私は、オレンジのバッグが買いたいのだろうか?」という自問の命題に挑戦しているのである。無意識に、だけど。夫が、自分の決めた側を指さしたら、かえって意気消沈してしまうのが、妻という生き物なのである。迷った時の夫頼み。しかし、それは、夫が自分の気に入ったものと逆側を指さしてくれないと、本来の目的を果たせない。

これも新しい発見だ!
どっちがいい?ときいて、夫が選んだ方と逆のものをうれしそうに買う妻の心理。
こんな意味不明で不可解な行動の意味を理解している男性、いないんじゃないだろうか。
女の人には当たり前の気持ちなの? とってもびっくりした。
●ビジネスシーンで考慮すべき男女の差

・脳の中では物理空間と概念空間の処理は、ほぼ同じ機能部位を使うので、モノの位置関係に敏感な男性脳は、人間同士の位置関係もとても気になる。すなわち、序列を気にするのである。一方、空間認識力が低い女性脳は、感覚的に序列があまり気にならない。
・日報・週報・報告書は、女性営業マンを殺す、と私は主張している。女性脳の真骨頂は、臨機応変さにある。女性は、朝一に伺ったお客様の顔色や手ごたえで、今日の予定を変更したりする。数字には表れない潜在情報を肌で感じて、その場で見込みを微調整している。このため、明日や来週の細かい予定を、机上で、細かい数値付きで立てさせられるのは、完成上は耐えがたいのだ。
・女性上司は、男性部下の日報・週報に、あまり熱心に反応してあげられない。数値を予想すること自体が虚しいのだから、予想数値を微調整してやったり、それをクリアしたことを喜んであげたりする気分にもなれないのだ。

仕事をする女性に多いのだと思うのだけど、
女性が社会に出るようになって、男性の中でふるまおうとしてきた結果、
最近、一部の女性が男性化している(男性脳の癖がしみついている)のではないか、そんな傾向を感じる。
だから、もともと序列を理解できない女性脳の女性と、序列に神経質になる擬似男性脳の女性のコミュニケーションで、
行き違いやケンカになるのではないか、そんな気がする。
主婦同士のケンカの原因のひとつに、このあたりのことが、ありそうだ。
私の妻などもたぶん、誰が誰に先に情報を渡すべきか、みたいな序列、考えていないような気がする。
というより、やや女性脳的な傾向のある私も、実はこの辺のことを考えるのが苦手だったりする。
はっきりいてめんどくさい。
組織はフラットでいいんじゃないのか、と思ってしまう。
●脳の人生学

・五十代半ば、ヒトの脳は、連想記憶力を最大にする。これは、ものごとの本質や、ヒトの資質を見抜く力である。孔子は、自らの人生を省みて「五十而知天命」と語ったと、論語にはある。
・五十代半ばの脳は、平たく言えば、「世の中の十の事象のうち、二しか見えない」脳なのである。しかし、その二が、その脳にとって、最も必要な、エクセレントな二なのだ。余計なものが見えないので、迷いがない。ものごとの本質が面白いように見え、自らの資質を知る。我がなぜ、ここにいるかを悟る。
・将棋の米長名人は、「二十代のときには、何十手も何百手も先が読めた。五十代になるとそんなわけにはいかないが、なぜか二十代よりも強い」と語ったそうである。本質を素早く見抜くというのは、戦略の核なのであろう。
・たくさんの情報を素早く仕入れて、長くキープする力=単純記憶力は、いかにも頭脳明晰に見えるので、「人生の知力のピークは二十代」だと思っている人も多いようだが、それは早計だ。
・三十代の脳は、「十の事象のうち、十すべてが、同じような重みで見える」脳だ。だから選択時に迷うし、選択した後もまだ惑う。ベテランになろうとしているのに、これが自分の天職なのだろうかと惑い、結婚しても「この人でよかったのだろうか」とまた惑う。惑ったせいで余分な痛い思いをする。
・混沌の三十代の終盤、四十歳直前になると、誰の脳にも、めでたく”物忘れ”が始まる。これが、意外にも、脳の大事な進化なのである。脳は、単純記憶力を連想記憶力にシフトしていくに当たり、余分な記憶をリリースする。忘れてもさほど人生に影響を与えない、映画俳優の名まえとか、あまり使わない慣用句などを忘れてしまうのだ。これは老化ではないので、安心してほしい。この物忘れが始まると、余計なものに翻弄されないので、ヒトは惑わされなくなるのだから。孔子にも、きっと、不惑間際に、物忘れが始まっていたに違いない。

逆に言えば、よい判断能力・洞察力を得るプロセスに入る四十歳より前、
単純記憶の時代に、幅広くバランスのとれた「教養」を身につけることが重要に思える。
私がいますべきことが、少し見えてきたような感じ。
暗いトンネルに光が見えたというか。
黒川さん、ありがとうございます。
●その他

・「わかるよなぁ、その気持ち」と共感してしまい、そもそも、かっとしないのだ。でも、理解を示した後、私は毅然とこう言うことにしている。「わかるよ。気持ちはわかるけど、男として、それはかっこ悪い」一歳のときから、そのセリフは変わらない。
・実は、7年×4=28年の大きな周期をもって、ヒトは、正反対の完成へと向かっているのである。
・ピシャッガラガラドシャーン、というのが私の耳に聞こえる、近場の雷の音である。この一連の雷鳴の中に混じる「ピ」や「シャ」の音が、どうも年齢と性別で聞こえる大きさが違うようなのだ。特に、薄い麻の生地を剃刀で裂くような「シャ」という音は、鳥肌が立つような不快さで、聞く者を震え上がらせる音だが、高音域の、しかも戦慄の皮膚感を想起させるこの音は、女や子どもの耳にはよく響くものの、大人の男性にはあまり聞こえないらしい。近場の雷鳴でも、成人男子には、「ガラガラドーン」と、ほぼピ・シャ抜きに聞こえるようである。

娘との接し方においても、
いくつか考え直した方がよさそうな点、みつけた。
* * * * *
ちなみにに私も、本の最後「解説」で柴門ふみさんが書いているのと同じところが気になった。
前書では「私のたいせつなひと」だったのに、今回は「オット」と表現が変わっている。
どんな心境の変化なのだろうか、と。
次の本で明らかにされるのかな。

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