思春期にがんばってる子

明橋さんの子育てハッピーアドバイスは、小さいお子さんのママに人気。
こちらは、思春期の子の父母に。


不登校の問題やいじめの問題など、
子どもが大きくなれば、幼児期とはまた別の悩みが出てくるもの。
不登校やいじめそのものは経験しなくても、
この頃の子どもの気持ちを理解するためには、
必読の書だと思う。
●甘えの大切さ

・よく第一反抗期(二~四歳)、第二反抗期(思春期)などというと、大きくなるまでに、反抗期は、二回しかないのか、と思いますが、実際はそうではなく、甘えと反抗の間を、無数に行ったり来たりしながら、成長するのが、子どもの心です。
・自立しよう、という意欲のもとになるのは、安心感です。安心感は、どこから培われるか、というと、甘えです。ですから、甘えない人が自立するのでなくく、甘えた人が自立するのです。
・いったん自立した人が、挫折を経験して、家に帰ってこようとする時に、「おまえの居場所は、もうここにはない」「いったん、家を出たものは、二度と帰ってくるな」と言うべきではありません。もちろん、場合によって、心を鬼にして言わねばならない時もありますが、いざとなった時に、自分を支えてくれる場所がある、という安心感は、自立には、とても大切なものです。
・手のひらの中の卵は、きつく握りすぎると壊れてしまいます。手をひろげすぎると、転がって地面に落ちて、やはり壊れてしまいます。子どもの心も同じです。
・依存症の増加 : 親子や、夫婦、友達、本来甘えていいところで、甘えないために、甘えるべきでないところに、甘える人が増えている、これが、現代の世相ではないかと思います。これに大きく影響を与えているのが、「甘えはよくない」という誤った常識です。

何十年も前から言われていることなのに、いまだに理解していない人が多い。
これは、大人の側に、知識をupdateする機会がないからかも知れない。
●思春期の友達

・思春期までは、依存の相手は、主に親ですが、思春期になると、たとえ不安になっても、もう親には甘えられない、という気持ちが強くなります。その時に、依存する相手が、友達です。ですから、思春期の友達関係というのは、親に甘えたい気持ちを、友達に向けているのです。思春期の友達関係がとても依存的なのは、こういう理由があります。ですから、受け入れられるか、拒否されるか、ということをものすごく気にしますし、拒否されたら、とても傷つきます。

なるほど..。
若者の失恋や、友達とのケンカというのは、とてつもなく大きな意味を持つ。
その理由が、これか。
●命令しない

・大人から見れば困った行動でも、子どもなりに、理由があるのです。
・もっとしっかり遊びなさい、みんなと一緒に仲良く遊びなさい、などと指示や命令を繰り返していると、それはもう、遊びではなく、仕事になってしまう。
・自分で悩んで、考えて、成し遂げることで、初めて子どもは自信を持つのです。人から言われた通りにやって、成功しても、子どもの自信にはなりません。ですから、できるだけ、手出し口出しは控えた方がよいのです。
・子どもが、右へ行くと言ったら、分かったよ、と言ってついていく。左に行く、と言ったら、分かったよ、と言ってついていく。ところが、やっぱり右へ行く、と言い出すと、こちらも、「いい加減にしろ、さっき、左と言ったじゃないか!」と言いたくなりますが、そこを、じっとこらえて、分かったよ、と言ってついていく。
・あっちへ行け、こっちへ行け、と、いちいち指示しない。手を引っ張らない。背中を無理に押さない
・子どもが不安になって、後ろを振り返ったら、そこには、ちゃんと親がいて、大丈夫だよ、とうなずいてくれる。

この「付き合う」「ついていく」という表現、とってもいいなと思った。
ここに子育てのエッセンスがあるように思う。
●言葉

・言葉、心を傷つける、最たるもの。そして、相手の心に元気を与えるくすり。くすりだから、作用も副作用もあります。
・私たち精神科医やカウンセラーは、言葉を、くすりとして用いる仕事をしています。これを精神療法(サイコセラピー)と言います。
・特に、副作用の強い言葉
「もっとがんばれ」
「甘えるな」
「それは逃げだ」
「もっと苦労している人もあるんだ、おまえなんかまだましな方だ」
「気の持ちようだ」
「単なるわがままじゃないか」
「もっと強くなれ」
「君にも悪いところがあったはずだ」
こういう言葉は、相手の状況を把握して、適切なタイミングで言うならば、確かに有効な場合もあります。しかし、相手の気持ちもいきさつも十分知らないで、安易に使うと、大変な毒性を発揮します。特に、傷ついている人や、疲れている人には、禁句といっても良いくらいで、この言葉一つで、相手の心を叩きつぶす場合さえあります。「がんばる」とか、「甘えちゃいけない」「逃げちゃいけない」という言葉は、言うとするなら、むしろ、本当に回復してきた時に、自分が、自分に対して、言う言葉だろうと思います。

私もずっとこの、劇薬を使い続けていた。
そして何人もの人を傷つけてきた。
カウンセラーですら使えない言葉を。
●その他

・人と話すのが苦手な人の場合、自分が何か言うと、否定されるのではないか、という恐れを持っている人が多いです。そしてその多くは、過去に、自分が何か、思うことを話した時に、否定されたり、無視されたり、曲解された経験を持っている人が多いです。こういう人には、特に、身近な人が、本人の言葉を、一切否定せずに、じっくり話を聞いてやる。そして、「大きくうなずく」「相手の言葉を繰り返す」「なるほど」「そうか、それは気がつかなかった」「ありがとう、教えてくれて助かったよ」など、能動的な聞き方で、相手の話を引き出していく。そして、しっかり話を聞いたうえで、本人の気持ちを、「こういう気持ちだったんだね」「要するに、こういうことだね」と言葉にしたり、要約したりしていく。こういうことを繰り返していくと、本人の話しかけが次第に増えていきます。

強権力発動・コントロールタイプの親の元で育つと、こういう子が育つ。
これを癒すのも、大変なのだ…。
土居健郎が引用され、平井信義が推奨文献としてあがっていた。
やっぱり、という感じがした。

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