価格戦略論

POWER PRICING
21世紀はプライシング(価格設定)が日本企業の命運をにぎる!
by ピーター・F・ドラッカー

How managing price transform the bottom line
ハーバードビジネススクルールをはじめとしたMBA過程で
プライシングの教科書として採用


●この本から学んだことと気づきなど
■プライシングの基本

パワー・プライサーは、「市場」や「競争」に価格の決定をゆだねてしまうようなことはしない。
パワー・プライサーの視点は、あくまでも「価値を創出する」ことにある。
価格は、価値形成のシステムの中で鍵となる要素なだけに、そのコントロールをほかのだれかや、ほかの何かに委ねることはしない。
個々の顧客の支払意志額は製品のコストによって決定されるものではなく、
その機能と、それによってもたらされる顧客への提供価値によって決定されるのである。
価格がコストを決定するのであって、その逆ではない。

今まで、コストプラス方式の価格設定しか、頭になかった。
そして、そうしないプライシングに後ろめたさを感じていた。
しかし、コンテンツビジネスでは、このあたりがとても重要なポイント。
悩んでいたことが、すっきりした。
 
■価格弾力性と広告弾力性
以下の数字情報(公式)はとても参考になる。

・平均価格弾力性 : 1.76(1%価格を下げれば1.76%売上が増大する)
・平均広告弾力性 : 0.22(広告予算を1%増やしても売上は0.22%しか増大しない)
別の調査では
・平均価格弾力性 : 1.81
・平均広告弾力性 : 0.1

平均的に、価格弾力性は広告弾力性の約20倍
→ 広告よりも価格のほうがはるかにインパクトが大きい
平均価格反応弾力性 : 0.71(10%の値下げに対し、競争相手が7.1%値下げする)
平均広告反応弾力性 : 0.38

■高い価格弾力性につながる条件

・類似性や代替性が高く、差別化がほとんどされていない
・価格の透明性が高い、価格の認知度が高い、価格が容易に比較可能
・購入頻度が高い
・危険性が低いと認識されている
・製品知識がある、製品を客観的に判断する能力がある
・意志決定者が自分自身で製品の代金を支払う
・ブランドの認知度が低い、ブランド・ロイヤルティが低い
・品質と販売方法が大衆向けである
・絶対的な価値が高い
・製品のトータル・コストに占めるそのアイテムのシェアが高い
・エンド・ユーザー市場でバイヤーとリセラーが競合している
・イメージと名声の重要度が低い
・製品カテゴリー内でプロモーション活動が積極的に行われている
・市場シェアが低い

ほとんど、自分が手を出したくない世界の商売だ。
■競合との関係について

層をまたぐ競争には非対称性がある。低いクオリティの層による値下げが上位の層から顧客を引きつける場合よりも、高い層における値下げが低い層から顧客を引き上げる場合の方が、より強力である。

これも、とってもすっきりした。
言われてみれば確かにそうだ。うんうん。

Prisoner’s Dilemma

この寓話はおもしろい。
別途ぐぐってみよう。

インターナショナル・プライシングにおいて、為替レートは重要な役割を果たす。
為替レートの変動に対しては、中間的な価格の調整が必要である。
為替レートの変動に対し、価格が一定になるよう設定したり、
利益が一定になるよう設定したりすることは望ましくない。

最近注目されてきたキーワードに、フェアトレードということばが、ある。
このあたりの話を論じるためには、安易な感情論ではなく、
マーケットの仕組みに関する正確な理解が必要だよなと、改めて思った。
■もっとも重要なこと

価値志向のプライシング・アプローチに移行すると、顧客やその知覚価値がプライシング・プロセスの焦点になる。このことは、ソフトウエアやコンテンツ、製薬などのような限界コストがゼロか極めて低い製品にとって適切である。
これはコストがプライシング決定に十分な情報を提供していないためである。顧客価値の情報は、コスト・データよりも集めるのが難しく、しばしば不安定である。

コストデータ を集めるのはITやファイナンスの仕事。
価値データ を集めるのはマーケターの仕事。
大企業においても、中小企業のそれと、何も変わらないんだな。
HBRの学術的な難しい本を読まなくても、
自分がバイブルにしているJayの言葉だけあれば、十分だ。
・・・とあらためて思った。

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