って感じ。

71の高感度指標でわかる流行るコト・売れるモノ
CONSUMER REPORT & COOL LEADER’S INTERVIEW

出版当時から何年も経っているけれど、あえて読んだ。
当時のアーリーアダプターやインフルエンサー、高感度消費者と言われるたちが注目していたものは、その後どうなったか。そういう視点でみると、現在の高感度消費者たちが注目しているものが、これからどこに向かっていくのかということの想像に役に立つかも知れないな と。


数年前の流行の兆しは、確かに、現在は一般に浸透してきている。スピードの早い情報技術をのぞけば、今でも古い感じはしないものばかり。流行が市場に浸透し成熟するまでには相当の時間がかかるんだなと、思った。
各分野の尖ったところにいるキー・キャラクターへのインタビュー記事が興味深かった。
以下、本中から拾ったところ。
●町田康

『わかりやすいもの』というのは、つまらないですね。例えば、僕ら若いときは、わかっていないのにわかったようなふりをして、難しい本を読むことをよくやっていました。そうしているうちに、別のことがわかったりする。わかろうとしなければわからない。何事も背伸びする感覚というか。すべての表現をわかりやすくしてしまうと、受け取るほうは自分がすべてをわかっているような気になってしまう。それでは面白くないですよ。創作する側は、全員にわかるものを創る必要はない。
マーケティングした痕跡が見えてしまうのは興ざめですね。
インタビューなどでよく訊かれるのは『あなたの文化的背景はなんですか』という質問。なんでそんなこと訊くかといえば『そこになにかネタ元があるんじゃないか。それを自分もうまく配列すれば、同等もしくはそれ以上の表現ができるんじゃないか』と思うのでしょう。でも、それはあまり意味がない。受け取る人間が違うのだから同じものを聴いても、出てくるものは違う表現になる。小説に関しても同様で、現実を参考にして書いたって、自分を通って出てくれば、現実とはまた違う現実になる。
音楽的教養を高めようという動機でレコードを聴いても、音楽的教養は高まらないと思う。そのレコードに真剣に向き合って音楽に身を委ねないと、自分の体に染みてこないと思うんですよね。まずは目的を持たないことが大事だと思います。

アーティストではないかも知れないけれど、自分も一人の表現者。そんな自分が少し迷っていたことについて、ズバリ答えてくれていて、嬉しいというか心強いというか、共感した。誰もがクリエーターになる時代。アーティストのスタイルとか考え方というのは非常に参考になる。
●都築響一

『なんか作っているヤツがいるんだけど、それがすごくいいものなのか、それとも屑なのか、まだ判断下せない』、っていう状態が最前線。いきなり見たり聞いたりして、『ああいいな』って思うのはB級というか、もうわかっちゃっているものなんだよね。出会ったときに『なんじゃこれ!』って異様に驚いて、わかんないけど、非常に心に引っかかる、そういうものが最高なんだ。
いろんな技術を作るのは大事だけど、使い方は決めちゃダメなんだよ。使い方は本当に必要なヤツが自分で見つけないと。八百屋はベストな野菜を売ろうとはするけどさ、『これで煮物を作れ!』とは言わないじゃん。誰にとってベストかっていうのは、買うヤツが決めればいいんだよ。

クリエーターの話というのは、起業家にとってもめちゃくちゃ参考になる。起業家というのは、アートを勉強した方がいいんじゃないかと、そんな風に思えてきた。
●その他

<ファッション雑誌>
日本の雑誌はカタログ的で、個々の洋服に対して『読者の反響がどれだけあり、いかに売り上げに結びつけられるか』という表面的な視点で作られているように感じる。
<映画>
友達に自慢したくなる映画。でも、自分が発見した映画だから広く知られたくはない。公開はミニシアターだけにしてほしい。アメリはそういう現象を生んだ。知られていないが、自分は面白い映画をよく知っている。そういう人は周りの友達からしてみると、センス良く映るかもしれない
<健康>
健康に対する意識は女性のほうが進んでいて、男性は約10年遅れてそのレベルに到達する。女性は肌感覚、あるいは体内感覚で健康を捉えられるのではないか
<雑貨>
女性たちの鍋へのこだわりは、「幸せ」のイメージの延長線上にありそうだ。