君主は愛されるよりも恐れられよ
マキャベリの本は悪徳の書ではなく、大戦略家の書である
・・・とカバーに書かれているように、実際のところは、世の中の理解とは大きな差がある。
君主論、政略論はは私のバイブルなので、何度もよむ。
マキャベリズムという言葉を知っている人は多いかも知れないが、
その本質を本当に理解している人は少ない。
たとえばおもしろいところでは・・・
・相手が守りきれないような約束をしても無駄である
・自国民で軍隊を編成できない君主は失格である
(「軍隊」を「営業」に置きえかえて考えるととてもわかりやすい)
・祖国のために恥をしのぶ
(潔く死を選ぶという考え方は必ずしも最善ではない)
・強制されて結んだ約束は守らなくてよい
・君主は約束を守ることが不利な場合、約束を守る必要がなくなった場合には破約せよ
・ケチは君主に必要な悪徳の一つである
・君主は恐れられてもよいが恨まれてはいけない。
君主は人民の妻女や財産に手を出さねばよいのである。
人間は父祖を殺されたことは忘れるが、自分の妻女や財産を奪われたことは忘れない。
・決断力のない君主は中立に逃避して滅びる
・助け起こされることをあてにして、自分から進んで倒れているのは愚
・運命は河である。
運命には勝てないといわれているが、運命が支配できるのは人間の半分だけで、
あとの半分は、運命もわれわれ自身の支配にまかせている。
運命は河である。
怒り出すと手に負えないが、堤防やダムによってその猛威をそらすことはできる。
・運命は女神である。
彼女を制服するには、叩いたり、突き飛ばしたりする必要がある。
つまり、運命は女性に似て若者の友である。若者の、無分別で、荒々しく、大胆なところに魅力を感じる。
・目的さえ前であれば、手段の善悪を考える必要はない。
結局のところ、人間の心理を鋭く分析した書なのだと、思う。