戦略プロフェッショナルへの自己変革
原点に回帰せよ。そして、進化の未来を描け。
金融業の使命とは、個人や企業、そして社会に「ゆたかさ」を届けることである。
今のお客さんは金融業に分類される保険会社。
ということで、田坂さんがこの業界について書いているのであれば、
ぜひ、読んでおこうと思った。
内容としては、田坂さんが他の著書で述べている数々の未来予見を、
金融業に適用したケーススタディーのような感じ。
事例豊富という意味で、学びになる。
●マインドセット
・このようなコンソーシアムにおいて主導権を発揮するために最も大切なものは、「ビジョン」と「戦略」である。金融業であれ、製造業であれ、異業種コンソーシアムの中心に立つ企業に求められるものは、何よりも、このビジョンと戦略の明確さである。なぜならば、ビジョンこそが、異業種企業が結集する「求心力」となるからであり、戦略こそが、異業種企業が協働する「親和力」となるからである。
・戦略マネジャーが心に刻むべきは、「現実に実行できるものこそが『戦略』なのであり、現実に実行できないものは単なる『願望』にすぎない」という警句である。しかし、企業においては、その意味での「戦略」と「願望」を混同する人々が多い。
・ニーズの上流に向かう戦略こそが王道である。なぜならば、「事業開発ニーズ」とは、これからの時代の企業にとって、それが大企業であるか中小企業であるかを問わず、最も本質的かつ継続的なニーズだからである。
・「危機」という言葉は「危険」という言葉と「機会」という言葉がともに含まれている言葉でもある。ピンチという意味とチャンスという意味の両方が、そこには含まれている。それが危機というものの本質である。
・アメリカの金融業は「リスクを取り、戦略を持って、有利な投資先を育てる」ことを行っているのに対して、日本の金融業は「リスクも取らず、戦略も持たず、有利な融資先を探す」という状況にある。この彼我の差は大きい。
私のビジョン、私の戦略とはなんだろうか。
逆にいえば、それがない人は、それを持っている人に従うことになる。
それを持っている人に動かされることになる。
●未来予見
・アメリカの金融ビッグバンにおける名言に”Banking is forever, Banks are not”という言葉がある。
機能と要求は残るが、その名を飾った形式だけの組織は不要になる。
商社とか大企業の多くは、もうこの先の時代、不要になる可能性がある。
・流通革命とは、いわば「人材流」「物流」「金流」「情報流」という四つに関する流通革命なのである。
最後に残ったのは、人材流と物流なのだろうと思う。
人材の流通がもっと簡単になるとは、どういうことを意味するのか。
年齢や性別、国籍などによる事実上の規制が緩和されるという側面もあるだろうし、
NPO等の活動に特に顕著だが、正社員という立場や就業規則、守秘義務による制約の緩和という側面もあるだろう。
とくに後者の方が、注目に値する。
もっと簡単に人的リソースが流通するようになるには、
どのような環境や条件が必要なのだろうか。
それはきっと、リクルートやインテリジェンスがやっているようなビジネスのことではなく、
先日最年少上場を果たしたあの企業がやっているようなインフラのことだろうと思う。
また、物流についても、一つ、ちょっとしたアイデアが浮かんだ。
まもなく、手紙というものが、メールになり、そして第三の螺旋的発展をとげる。
そのためにどうなるのか、これはちょっとビジネスアイデアとして真剣に考えてみよう。
●得られたアイデアとヒント
・欲しいと思った金融商品の情報を手間と時間とコストをかけずに自由に入手できるようになることは、顧客の立場からは極めて便利であるが、金融業の立場からすれば、「顧客に対してどのような金融商品の情報を提供しているか」という問いが先鋭的に問われ続けることを意味している。
これは、あらゆるコンテンツビジネスにおいても同じ課題だ。
いや、コンテンツビジネスに限らない、か。
・情報編集という方法には、極めて戦略的な二つの意義がある。
1) 金融市場の先端動向を知ることができるという意義
2) 金融ビジネスを顧客の視点から包括的に考えることができるという意義
確かに、自分が女性の心理や子どもの心理について徹底的に学び情報編集によって得たものは、
この1)2)の両方の意義を満たしている。
・これからの金融市場では、顧客が、最終的に、どの金融業の、どの金融商品を購入するかにかかわらず、まず、最初に相談に来てくれる立場に立つこと、すなわちゲートウェイの位置に立つことが最も有効な戦略なのである。具体的には、顧客が「とにかく、あそこに行けば、客観的で包括的な整理された情報が得られる」と感じてくれる情報サービスを提供する戦略である。
・情報が溢れれば溢れるほど、そして営業攻勢が強まれば強まるほど、顧客が求める情報は、次の四つになる。
1) 特定商品の販売を意図しない中立の立場からの「客観的な情報」
2) 一部の商品だけに偏らず、すべての商品を対象とした「包括的な情報」
3) それぞれの商品に関する詳しいデータを載せた「詳細な情報」
4) 顧客にとって使いやすく理解しやすい「整理された情報」
保険の窓口 という会社があるが、それはまさにこれをやってのけた。
保険とはぜんぜん違うある分野の話だが、
私には、これができる。
また私にしか、これはできない。
私にこそ、この役目がふさわしい。
そういう思いが、ふつふつと、わいてきた。
●応用的な考え方
・金融業は、顧客を「育てよう」というエデュケーションの思考ではなく、顧客が自発的に「育つ」ための環境を整えるインキュベーションの思考へと転換する必要がある。それでは、その「環境を整える」ためには、いったい何を行えばよいのだろうか?「障害」を除去することである。
これはそもそも卵が孵ることになぞらえた比喩だつたわけだが、
子どもが育っていく環境そのものについても言えることだ。
子育て ではなくて 子どものインキュベーション。
このことは、まさに自分が現時点で行き着いたところのもの、
最も大切にしたいと思ったマインドセットそのものだ。
・かつて、フリードリッヒ・エンゲルスが「道具が意識を進化させる」という言葉を残しているが
私が小さいころは、Imidasをよく眺めていた。
しかし4歳の娘は、楽しそうに毎日Google検索をしている。
また、携帯やネットも、当たり前の道具になっている。
これらのことは、これからの子どもたちをどのように進化させていくのだろうか。