心とこころの保育

保育に関わる人、幼児をもつ全てのママパパにおすすめしたい一冊。

●親自身の心を見つめる機会となる

・さらに大切なことは、この訓練によって、親は自分らしさを取り戻し、「親」という役割を演じることに汲々としないですむようになるという事実です。「親業」では、「いかに」コミュニケートするかを学ぶと同時に、「何を」コミュニケートしたいのかが問われてきます。いわば自身の価値観、自身の生き方を見つめ直さなければならなくなるという一面があるのです。それが自己発見に結びつき、自分を「親」という役割から解放して自由に自己表現し、一人の人間として生きる第一歩を踏み出させてくれます。

さらっと書かれているけれと、ここに書かれていることはとても深い。
子どもと接するというのは、自分の心と対峙することだ。
ごまかしはきかない。真剣勝負。
嘘をつかずに正対するということは、自分自身を見つめることにほかならない。

●能動的な聞き方

・言葉の未発達な乳幼児は、自分の欲求を他者に伝えるコミュニケーションの力が限られています。子ども自身、経験が少ないために一体何がいけないのかわからず、とにかくイヤな思いをしていることもあります。
・子どもがますます機嫌をそこねて大泣きしたり、わめいたりするときには、おとなはたいてい子どもが投げてきたのとは違う色のボールを投げ返しています。子どもは泣いたり、わめいたりして「自分をわかってくれない」おとなに抗議しているのです。違う色のボール(不適切なフィードバック)は、言語化れさた状況も子どもの思いとは異なるために受け入れられず、言葉の発達にはよい影響を与えません。「おきまりの十二の障害」は、「色の違うボール」を投げ返していることになります。

この、「自分自身でも何が不快なのかがわからない」という状態は、
乳児だけではなく、大人にもあてはまることだろうと思う。
だからこそ、カウンセラーやセラピスト、コーチやメンターやトレーナーが活躍する。
その本質は全て、鏡。つまり正しいフィードバックにあるということなのだ。

●わたしメッセージ

・肯定のわたしメッセージは、「ありがとう」という言葉で言いかえられるものです。しかし、「ありがとう」という一言にかえて、「うれしい」という自分の思いが表現されることで、自分を他者に見せるということが行われ、相手との距離は、より小さく感じられることでしょう。また、肯定のわたしメッセージで、うれしい感情が表現されるだけでなく、園児の「どの行動」が、ということが明確に言われると、ただおだてられているのではないことが伝わり、どの行動が保育者に好まれたのかがわかり、園児はその行動を繰り返しやすくなります。もちろん、その行動が保育者にどのような影響を与えたかが語られれば、さらに具体的で納得性が高くなります。
・予防のわたしメッセージ「これから本を読みます。私は大きな声で読みます。本を読んでいて、他の人の声が聞こえると、そのことが気にかかって、うまく読めないことがあるの。いいお話なので、みんなが静かに聞いて、ずっとお話を読めたら先生はうれしいな」
・予防のわたしメッセージは、園児の不安を解消すると同時に、子どもの協力的な態度を得てスムーズに事を運ぶことができます。単に予定を述べ、指示を与えるばかりではなく、保育者の感情が表現されることで、子どもたちとの交流がここでも人間的になることでしょう。

ほめる、おだてる 評価する という操作主義による誘導も、逆にまた、
いいよいいよ と完全に「いつも負けてあげる」という第二法の対応も、
子どもの方もいずれ「偽善だ」「操作れさている」と気づく時がくる。
そういうものに頼るのではなく、真剣な心と心のやりとりが必要なのだ。

●環境改善

・三種類(赤・黄・青)のテープを本棚と種類別に本を分けて三種類のテープを本にはって、本棚に入れるときは、テープの色別によって整とんして本を入れるようにしています。園児にも大まか(三種類)の分類を知らせることができますし、本の整とんもできてよいアイデアでしたね。
・問題 : 三時にお昼寝から起こしても、なかなか起きない子が多く、ムリに起こしても機嫌が悪くなってしまう子が多い → 改善 : 二時にまず電気をつけ、カーテンを開け明るくし、子どもたちの好きなうた(カセットテープ)をかけておく。そして三時十分位までそのまま放っておく。→ 解決 : 徐々に目が覚めてくるので、三時十分頃にはほとんどの子が機嫌良く起きている状態になった。

この二つはさっそく取り入れようと思う。
うん。いいアイデア。

●勝負なし法の本質

・大切なのは、何についての対立なのかということを間違えないことです。各々の欲求を明確化することが目的であって、「解決策の対立」を「問題の対立」と考えないように気をつけます。例えば、夏の暑い日射しの中で防止を「被らない」という子どもと、「被らせたい」と思う保育者との対立は、「かぶる」か「かぶらないか」のいずれの解決策しかないように思えてしまいます。しかし、これをお互いの欲求という観点で考えると、子どもは、「汗が出るからいや」であり、保育者は「日射病になって倒れてしまうのではないかと心配」ということであるかもしれません。すると、解決策は、1.日陰で遊ぶ 2.外で遊ばない 3.汗をかかない遊びをする 4.汗をすいとりやすい防止にする 5.時間を決めて、日陰に度々入るようにする 等々いろいろ考えられ、子どもの防止を被るというのも、一つの解決策にしかすぎなくなります。このように「対立」が解決策の対立ではなく、欲求の対立であることを明確にできるのが、コミュニケーシよんの能力の成果です。

ここ重要なポイントだ。
とくに親の権威とか親へのリスペクトを強要する感情のバランスがとれていない人は、
ただ単に自分の言った解決策を受け入れることに固執することがある。意固地に。
問題の本質については全く理解しようとせずに。
頭が悪いというか、これは親自身の感情の問題なのだろう。
親がその親にどんな風に育てられ、どんな傷を持っているか。

●勝負なし法の子ども同士のトラブルへの適用

・「●●くん、○○ちゃんに謝りなさい」と、子どもの取るべき態度まで指示をすることもあるのではないでしょうか。保育者が裁判官になってしまうと、そこには自然と勝者と敗者が生まれます。勝った子どもは得意になり、優位に立ったと思い込みます。負けた子どもには罪悪感が芽生え、自分はダメな子だという自己嫌悪にさいなまれることもあるでしょう。そのうえ、子どもたちから自分たちで問題を解決していく力をつけるチャンスを奪う結果にもなります。保育者自身も、裁定を行うことでエネルギーを使わなくてはなりません。勝者も敗者も生まない第三法は、子ども同士のトラブル解決にも用いることができます。
・「二人とも一番前に並びたいんだ。困ったね。どうしたらいいかなあ」

この「どうしたらいいかなあ」は魔法のキーワードだと思った。
裁判官にならないために。これを癖にしよう。

●子どもの成長に寄与する理由

・子どもが問題を抱えているとき、周囲のおとなはつい「ああすれば」「こうすれば」と自分の考えを提案したり押しつけたりしがちですが、それでは子どもの自主性は育ちません。また、自分で決断した行動とおとなから提案・指図された行動を比較すると、子どものもつ責任感の度合が異なります。自分で決めたことについては、子どもは迅速に行動を起こし、最後までやり抜こうとする姿勢を見せるのです。このように能動的な聞き方は自分の問題について自分で考え責任をとるという、自己決定能力をはぐくみます。保育者のロボットにならないのです。
・子どもの側は、自分の思いや考えを口にすることができることから、(1)考える力が育つ (2)いい、悪い、好き、嫌いなどの判断力が育つ (3)言語能力が育ち、(4)思ったことを言って相手に受け入れられる経験から、相手への信頼感が自分への信頼感(自信)につながり、例えば、いじめの防止にもこれが力を発揮することになる (5)相手の思いや考えにも目がいく、思いやりが育つ (6)自由な発想ができる 等の影響がみられることでしょう。第三法は単に問題解決を促すというだけでなく、子どもの行動・性格・人生にすら変化を生むのではないでしょうか。

うちの子が比較的、言語能力が早期に高まったのはこのあたりも関係がありそうだ。
その意味では、幼稚園や小学校は、かえって強制や力を使う子が多く、
娘にとっては(もちろん利点もあるにはあったけど)
どちらかというとマイナスの環境であったと言わざるを得ない。

●しつけ : 第一法がダメな理由

・親に子どもを叩く理由をたずねてみると、まず単純に先ほどの「しつけである」がでてきます。少し理屈っぽくなると「他人を噛んだり叩いたりしたとき、同じような痛みを味あわせると、その痛みを覚えて、人を叩かなくなるであろう」となります。ときには、「親が子を叩いてなにが悪い」と、理屈以前の返事も飛び出します。これは、どういうことでしょうか。そして不思議なことに、子を叩く親というのは、子どもの教育やしつけに熱心な人が多いのです。先ほどの「価値観の模範になる」という意味から考えてみますと、この行いは完全に反対の模範になっているのではないでしょうか。親は真剣にそうしているのでしょうが、それが「逆の模範になっている」ことに気付いていないのです。小さな子どもは、家庭で身につけたしつけを幼稚園や保育園でストレートに出してきます。その子どもの行いは、その家庭でのしつけ、その家族の価値観そのものなのです。

この「反対の模範」を今まで何度もやってしまったと思う。
娘に、本当にすまないと思っている。未熟な父親をどうか許して欲しい。

●価値観の対立について

・子どもが自分の価値観を確立するためには、なるべく多くの違った価値観にふれることが必要です。世の中にはさまざまな価値観があることがわかり、次に自分の価値観を検討していく必要があります。しかしふれるところでとどまっているのでは受け身に情報を待つことになってしまうでしょう。子どもたちが自分なりの価値観を選んでみる機会を与える努力が、保育者にはもとめられてきています。

子ども自身が価値観を選ぶ機会、か。
賢い選択ができるようになるには、そして、
大人になってから取り返しのつかない失敗をしないようにするためには、
小さいうちから自己責任による選択と、小さな失敗から学ぶスタイルを、
身に着けていって欲しいと思う。