「赤ちゃん」の進化学

子供を病気にしない育児の科学
アトピー性皮膚炎や小児喘息などにかからない、健康な子供に育てる「究極の子育てガイド!」

著者西原氏は、Net上では「トンデモ系」に分類されることも多い様子。
確かに、後半から論理展開が急に雑になっていくような印象がある。あれれと思っていたら、巻末の書籍案内に、宗教団体・生長の家の書籍の紹介がずらり。気になって日本教文社をググッてみたら、生長の家おかかえの出版社だった。


宗教団体系の出版社だからというだけで、偏見によって中を読まずに否定するつもりはないが、とくに7章以降、進化論などに関する考察については、それがあることでかえって前半部分の信頼性を貶めている印象すらある。
と、ネガティブなことばかり書いていたが、現代の西洋医学偏重主義や、スポック博士の育児書をベースにした古い子育ての常識に対するアンチテーゼとして、このような考え方があることを知っておくことは大変有効だと思える。
とくに、アトピーや小児喘息の原因となる食生活のところと、鼻呼吸の重要性、免疫システムに関係する乳幼児のライフスタイル(指しゃぶり)に関する記述は興味深い。事実、さきほど近所のサンドラッグに行ったときにも、著者の西原氏とピジョンの共同開発のおしゃぶりは実際に存在・販売されていた。
医学的根拠や裏づけについては別途調査の必要があるのかも知れないが、世の中の親が知りたいのは、小難しい科学的裏づけではなく、納得でき、再現性のある実体験だ。(再現するための条件の確認は必要)
また、母親のお腹で四億年の進化のプロセスを再現する子どもというアナロジーはとてもおもしろい。悪阻と古代魚が上陸劇で味わった苦しみとの対比など、とてもおもしろい。
このように、前半部分だけなら読む価値がありそう。

・おしゃぶりを3~4才まで使うことで口呼吸を予防でき、むしろ歯並びも整える
・指しゃぶりや片噛みが歯並びを悪くする。
・水泳は口呼吸の癖がつかないように注意が必要
・うつぶせ寝により鼻呼吸を阻害、骨格をゆがめないか注意が必要
・アイスや冷たいジュースが腸を冷やし機能を低下。アトピー/アレルギー体質となる
・2才までは母乳または乳児用ミルクだけでもいい。半年などの早い離乳食は危険
 アレルゲンの入った離乳用ミルクでもダメ。
・赤ちゃんの未完成な腸はフリーパスで吸収する為「タンパク質を含む離乳食」は毒
・子どもの頃からの無理なスポーツは体を壊す
・3~4才頃まではムリに歩かせずベビーカーに乗せるか抱っこする。
 人間が二足歩行するということは大きい負荷がかかっている。

私個人的には、「指しゃぶりが鼻呼吸に有効なのでは」と直感していたので、同じような主張・学説があることを知って、少しうれしかった。

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