ビジネスマンの父より息子への30通の手紙

下手な社員教育は、この一書を読ませるに如かず

恩師の薦めで、読んでみた。
「ひとりの父親は百人の教師に優る – 17世紀の詩人ジョージ・ハーバート」
という言葉の意味がとてもよくわかる。


以下メモしたところ
●読書観

・読むことは人を豊かにし、話し合うことは人を機敏にし、書くことは人を確かにする – フランシス・ベイコン
・ほんとうに演説の上手な人には、もうひとつの秘訣がある。息継ぎの技術である。深く息を吸いこんで、文全体、あるいは長い文のまとまった一節を、ひと息で話す。
・読書量は多くても、ほとんど小説しか読まない人もいる。彼らはそれでくつろげる、と言う。ノンフィクションを読むのは仕事だと感じる人が多い。奇妙なことに、私はノンフィクションを読みながら、くつろぎ以外のものを感じることはない。しかも、この世界には学ぶべきことが実に多くあり、小説よりもはるかに興味をそそられる事実が無数にあることを思うと、誰かの白昼夢を読むのは時間の浪費にさえ感じられる。
・人生の偉大な目的は知識ではなく、知識の活用が命じる行動である。
・他人の過ちから学べ。自分ですべての過ちを経験する時間はない。

私の読書観とぴったり合致する。こういう考えをはっきり言っている人がいて、うれしくなった。ノンフィクションは私にとってくつろぎなのだ。それに、ただの行動ではなく「知識の活用が命じる」行動である必要がある。有効な知識の伴わない行動は、無駄が多い。すべての失敗を経験している時間はないのだ。
●仕事の選択

・充分検討した後に進路を決めたら、法律家、公認会計士、事業家、何になるにしても、夏休みの間に自分の選んだ分野の仕事を経験してみるといい。
・これから30年先の未来の実業界の巨人たちもみな、今日初めて職に就こうとしている。君と同じように。このことを忘れないように。

仕事を選ぶときは、それが初めての就職のときに限らず、そのような心構えであるべきだと思った。
●企業家魂

・企業家の語源は「企てること」を意味するフランス語の「アントルプランドル」である。オクスフォード辞典での意味は「労働と資本の中立をする請負業者」である。実業界のこのすばらしい革新者を説明するには、もうすこし言葉を付け加えなければなるまい。私の見るところ、企業家は偉大な想像力の持ち主である。あらゆることに解答が見出せるらしい。解けない問題はなく、遂行できない事業はない。その考え方は独創的で、同じことをするにしても、常に新しい方法を求める。実業界の標準的な経路を避けようとする生来の性向が、その成功の主因である。
・私が強調したいのは、マッキンレー大統領がローワンにガルシアへの書簡を託したとき、ローワンはその書簡を受けとって、「彼はどこにいるのですか?」と尋ねなかったことである。

「部下として」仕事ができる人はこれをそのままの意味でとればよいし、リーダーとして人を統べる者としては、この書簡を「顧客の要求」としてとらえればいい。私は「どこにいるのですか?」ととぼけたことを言ってしまっていないだろうか。日々の仕事の中で、もっとこの訓練をしていく必要がある。
●保険

・必ず、普通終身保険を選ぶこと。料金に対する保険金が最も多いからである。外交員が経済的な安定のために勧めるそのほかのさまざまなプランは無視すること。私の見るところ、たいていの外交員の勧める投資計画では、インフレの要素が正しく考慮されていない。
・君は金遣いが荒い、という印象を受ければ、多く顧客が君を敬遠するかもしれない。君が使っているのは、自分たちとの取引で得た利益ではないか、という考えが心をよぎらないではいないだろう。しかも、その使い方があまりにも豪勢だと、高値のものをつかまされたのではないか、という考えも脳裏をかすめかねない。

私が生保の営業に感じていたイヤなモヤモヤ感は、まさにこの部分なのだと理解できた。品のある身だしなみはすばらしいけれど、嫌味のある華美な身なりは、感覚的に「嫌い」なのだ。その分の利益を顧客に還元してはどうなのか、と思ってしまう。
●人間関係

・君はよれよれのジーンズにくたびれたTシャツを着ている。女主人はがっかりするだろう。一日の苦労を思うと、馬鹿にされたような気がするかもしれない。人の夕食に招かれたら、「ふだん着で」と言われないかぎり、少なくとも上着を着ていくように(できれば上着を着て、ネクタイをしめたほうがいい)。そのほうが安全だろう(めかしすぎたと思ったら、上着とネクタイはいつでもとれる)。それにある意味では女主人へのお世辞になる。

そう、お金はこういうところで使うべきであると思う。自分にはこの配慮が足りなかった。

・友情には手入れが必要である。好ましい友好関係を結ぶためには、あるいは維持するためには、手を差し延べること、時間、思い遣りや気配り、月に一度は電話をすること、二ヶ月に一度ぐらいは昼食を共にすること、などが必要である。あまり間隔を置きすぎないように。

私は少し距離を置きすぎだろうか?大切にすべき友情が見つかったら、自然にそうすればよいと思う。

・成功を世間に吹聴しなければ、失敗を知らせる義務もない。
・私の推定では、批判に関するかぎり、人生の途上で出会う人のうち、聴く価値があるのは10%程度だろう。残り90%の人たちの動機は、羨望、悪意、愚かさ、あるいはただの無作法である。当然ながら、君が馬鹿正直に悩めば、それらがみな君の士気を挫くだろう。秘訣は、すぐさま批判者を評価することである。尊敬に値する相手だろうか?と、すぐに時部に聞いてみなければならない。その批判が90%の人からのものなら、すぐに忘れること。不当な、あるいは悪意のこもって批判は、ひとたび受け入れると、何日間も、そして幾晩も夜更けまで、心を悩ますからである。

人の批判に対して「すぐさま批判者を評価する」というのはとてもいい方法だ!!
●経営全般

・連邦政府であれ、地方政府であれ、私が役人について知ったことのひとつは、彼らは基本的に正直で、悪意を抱くことも、わざわざめんどうの種を捜すようなこともしない、ということである。非常に多くの事業家が自分の言い分を行政機構の上層に訴えて裁定を仰ごうとしないことに、私は愕然とする。たいていの組織では、当然ながら、組織図の上の方にいくほど、知性と良識にめぐり会えるだろう。それなのにたいていの経営者は対立を避けたいばかりに、検査官の解釈を絶対的な真実であるかのように受け入れる。

この本に書かれている銀行や役人に対する態度の項は、非常に参考になる。どちらに対しても、毛嫌いする必要もなく、媚びる必要もないのかな。少し考えを改めさせられた。スポーツマンシップというやつで、フェアに戦えばよいのだろうか。

・新しい設備を購入するときには、必ずそのまえに、同じ機械が実際に使用されているところを観察すること。それを所有している人を捜し出して、見学を申し込み、機械工と工場長も連れていって、その操作について要領よく質問をするように。

現代でいえば、ソフトウエアツールなどがそれにあたるだろう。
●幸せ観

・人生が突きつける挑戦に対して、態度を選ぶ自由があることを知って、それを行使するならば、君が人生の幸福を勝ちとる率は大きく伸びるだろう。
・80才の誕生日に、調子はどうかと訊くと、毎朝起きたときに何かすることがあれば、人生に不満はない、と言った。

高校の夏休みの宿題に「夜と霧」を読むというのがあったのに、さぼって読まなかったのを思い出した。買って読んでみようと思った。

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