スタンフォードの自分を変える教室

一度きりの人生が最高の人生に変わる講義

確かに、人生が変わる人、多いかも知れない。
根性論を捨て、科学的な方法で自己コントロールをというこれは結局のところ、
釈迦の話す中庸であるとか、スマナサーラ長老の語るヴィパッサナー瞑想であるとか、ヨーガの技法
などといったものの現代的な説明 
ということなのだろうと思う。

●脳の仕組み

・前頭前皮質はおもに三つの領域に分かれており、それぞれが「やる」「やらない」「望む」の各働きを受け持っています。前頭前皮質の上部左側の領域は「やる力」をつかさどっています。そのおかげで、退屈な仕事や難しい仕事、あるいはストレスの多い仕事でも、ちゃんと着手して、やり続けることができます。反対の右側は「やらない力」をつかさどっており、衝動や欲求を感じてもすぐに流されないようにします。そのおかげで、運転中に携帯のメールを見たくなっても我慢して、わき見運転をせずにいられるのですから、ありがたいことです。これら2つの領域は、ともにあなたの行動をコントロールしています。3つめの領域は、前頭前皮質の中央の少し下の方に位置しており、あなたの目標や欲求を記録する場所です。これによって、あなたの「望むこと」が決まります。この部分の細胞が即座に反応すればするほど、行動を起こしたり、誘惑をはねのけたりするモチベーションが上がります。前頭前皮質のこの領域は、あなたがほんとうに望むことを忘れません。
・この10年のあいだに、神経科学者たちが発見したところによれば、脳はまるで熱心な学生のように、経験したことを見事に学んで身につけるのです。たとえば、毎日数学をやれはせ、数学に強い脳になります。心配ごとばかりしていれば、心配しやすい脳になります。繰り返し集中を行えば、集中しやすい脳になるというわけです。繰り返し行うことは脳にとって容易になるだけでなく、それに合わせて脳じたいが変化していきます。まるで筋肉がトレーニングによって逞しくなるように、脳の一部の灰白質が増強されるのです。

基本的なことなんだけど、できてないこと。
仏教的な瞑想というのは、結局のところ、全てこの仕組みをうまく使っている。

●マインドセット – 意志力強化に厳しさは要らない

・意志力を強化するには自分にもっと厳しくするしかないと思っているかもしれませんが、しかし、それはまちがいです。数々の研究でも明らかになっているとおり、自己批判はつねにモチベーションの低下や自己コントロールの低下を招きます。また、自己批判はうつ病の最大の予兆であり、うつ状態では「やる力」や「望む力」が失われてしまいます。これに対し、自分への思いやり – 自分を励まし、自分にやさしくすること – は、やる気の向上や自制心の強化につながります。
・誰でもまちがいを犯したり、失敗したりします。でも、そのあとどう対処するかのほうが、まちがえたり失敗したことよりもはるかに重要です。
・心理学者が用いるエクササイズ : 自分に対して思いやりをもつことで罪悪感が和らぎ、自分自身に対する責任感が増すのです – これは、意志力のチャレンジで失敗しても、気を取り直してがんばるには望ましいことです。

ここが大原則。
罪悪感も含めて、ストレスは意志力にマイナスに働く。
ということは、気楽に、気軽に、ほどほどに、というのが大切。
まじめな人は悪循環に陥らないように注意が必要なのだろう。

●意志力強化のテクニック

・衝動的な自分にあだ名をつけるのが効果的だという人もいます。たとえば、目先の欲求を満たそうとばかりする自分には「クッキーモンスター」とか、文句ばかり言ってしまう自分には「やかまし屋」とか、いつも腰の重い自分には「なまけもの」とか。そうやっておかしなあだ名をつけてみると、そういう自分になりかけたときにはっと気づいたり、賢いほうの自分を呼び覚ましたりするのに役立ちます。
・「難しいほうを選ぶ」ことを繰り返す 利き手ではないほうの手を使って食事や歯磨きをしたり、ドアを開けたりするよう指示を受けました。..嫉妬にかられたり、パートナーからないごしろにされたり、あるいはそう感じたりなど、いかにもかっとなりそうなことが起きても、あまり反応しないようになっていました。これらの実験のトレーニングで行われた”筋肉”のアクションで最も重要なのは、設定した期限を守ったり、左手でドアを開けたり、汚い言葉を呑みこんだりすることじたいではありません。最も重要なことは、自分が何をしようとしているかに気づき、実行するのがたやすいことより困難なほうを選択することです。毎回こうした意志力のエクササイズを行なっていると、脳はすぐに行動に出ないで考えるようになります。
・目標を達成するために積極的に努力してきた人たち – たとえば、エクササイズや勉強、節約など何でもいいのですが – に質問をするとしましょう。「目標の達成に向けて、自分でどれくらい進歩したと思いますか?」こう訊かれた人は、翌日はジムに行くのをサボったり、勉強をやめて友だちと遊びに行ったり、買い物で散財したりして、目標の達成を妨げるような行動をする確率が高くなります。いっぽう、「あなたは目標を達成するために、どれくらい真剣に努力していますか?」と訊かれた人たちは、目標の達成を妨げるような行動をしたくなったりはしません。自分の行動についての解釈の仕方が大きく変わってしまうのです。
・目先の満足を味わうために10分待たなければならない場合、脳はそれを先の報酬として解釈します。すると、報酬への期待がそれほど起こらないため、目先の快楽に飛びつくのに必要な、強烈な生物学的反応も起きません。目先の快楽といっても、ほんとうに「すぐに」味わえるものでなければ、脳を乗っ取ってあなたの優先順位を覆すようなことはできないのです。
・脳を落ち着かせて賢明な判断をさせるためには、どんな誘惑に対しても必ず10分間は辛抱して待つようにします。もし、10分経ってもまだ欲しければ、手に入れてもよいでしょう。しかし10分待っているあいだに、誘惑に打ち勝ったあかつきに待っている長期的な報酬を思い描いてください。できれば、誘惑になるものとは物理的に距離を置きましょう(あるいは、見ないようにします)。
・もしあなたの意志力のチャレンジが「やる力」を必要とするものだとしても、この10分ルールを利用して、先延ばしにしたい誘惑に勝つことができます。つまり「10分経ったらやめてもよい」というルールにするのです。がんばって10分続けたら、やめてよいことにしましょう。けれども、いったんやり始めると、たいていは続けたくなるものです。

要約すると、
1.利き手と違う手を使う
2.ゆっくり食べる
3.やるのもやめるのも、とにかく10分待つ
4.自分自身に対して、目標を再認識させる適切な質問をする
5.瞑想とエクササイズをする
6.以下に示される邪魔者を排除する
というところか。

●瞑想の効果と仕組み

・神経科学者の発見によれば、瞑想を行うようになると、脳が瞑想に慣れるだけでなく、注意力、集中力、ストレス管理、衝動の抑制、自己認識といった自己コントロールのさまざまなスキルが向上します。
・やがて、脳はすぐれた意志力のマシーンのように発達します。定期的に瞑想を行う人の場合、前頭前皮質や自己認識のために役立つ領域の灰白質が増加するのです。
・最近の研究では、定期的に瞑想を行った場合、禁煙や減量に効果があり、薬物やアルコール依存症への対策としても効果があることがわかっています。あなたの意志力のチャレンジが「やる力」の問題であれ「やらない力」の問題であれ、この五分間の瞑想は、脳を鍛えて意志力を強化するには最適な方法です。
・ただじっと座っているだけという単純なことでも、意志力を強化するトレーニングになります。これにより、脳や体が感じる衝動にいちいち従わないようになります。
・瞑想のあいだにやっていることは、まさにふだんの生活においてやらなければならないことと同じだと気づいたのです。つまり目標から遠ざかりそうになっている自分を、目標のほうへ引き戻すという作業です。

瞑想が、目標を思い出させる訓練と考えるのは、
とても新鮮だった。言われてみれば確かに。

●運動と呼吸法の効果と仕組み

・呼吸のペースを遅くすると前頭前皮質が活性化し、心拍変動も上昇します。これが、脳と体をストレス状態から自制心を発揮できる状態に切り替えるのに役立つのです。ですから、チーズケーキをにらみつけるよりも、呼吸を遅くする練習をするほうが賢明でしょう。
・エクササイズは心拍変動のベースラインを底上げし、脳を鍛えることにもなるので、自己コントロールの生理機能が向上します。脳は瞑想と同様にエクササイズによって、より大きくなり、より速く働くようになりますが、その効果が最も顕著に表れるのは前頭前皮質なのです。
・2010年には、10件の研究の分析結果が発表されましたが、それによると、気分が向上し、ストレス解消に最も効果的だったのは、一時間に及ぶような長いエクササイズではなく、五分間のエクササイズでした。ですから、家の周りをたった五分歩くだけなんてかっこ悪い、なんて思うことはありません – すばらしい効果があるのですから。

五分でよい、という話をきくと、
やはりサーキットが一番よいのだなと、安心する。

●意志力を弱めるもの

・睡眠不足が慢性化すると、ストレスや欲求や誘惑に負けやすくなります。また、感情をコントロールしたり、意識を集中させたり、「やる力」のチャレンジに取り組むのも難しくなります。(授業でそう言うと、はっとする受講生が必ずいます。新生児の親御さんたちです)。
・自己コントロールの科学によって明かされた厳然たる、気がかりな研究結果。それは、人は意志力を使っているうちに「使い果たしてしまう」ということです。たとえば、24時間禁煙した喫煙者は、アイスクリームをドカ食いする確率が高くなります。最も穏やかならぬ例としては、ダイエットをしている人は浮気をしやすくなること。意志力を使い果たしてしまうと、人は誘惑に対して無抵抗な状態か、もしくはかなり弱い状態になってしまうのです。

●盲点 – ライセンシング効果

・誘惑に負けなかったときのことを学生たちに思い出してもらったところ、ライセンシング効果が生じ、そのあと70%の学生が自分を甘やかすような行動を取りました。しかし、学生たちになぜ誘惑に負けなかったのかと理由をたずねたところ、ライセンシング効果は見られず、こんどは69%の学生は誘惑に負けませんでした。研究者らが発見したこの単純な方法は、まるで魔法のように学生たちの自制心を向上させ、自分自身の大きな目標にふさわしい選択をさせるのに役立ちました。「なぜ」という理由を思い出すのが効果的なのは、それによって自分を甘やかすような報酬についての感じ方が変わってくるからです。がんばったんだから少しくらいごほうびをもらってもいいよね、と思っている自分に気がついたら、ちょっと立ちどまって「なぜ」自分は頑張っているのかという理由を思い出してみましょう。
・マーケティング研究者たちが行った数々の研究から得られた結論です。マクドナルドのメニューにヘルシーな品物を加えたとたん、ビッグマックの売り上げが驚異的に伸びたというレポートに、研究者たちは興味をそそられました。
・何かよい選択をすると、こんとは悪い選択をしても許されると決めてかかる傾向があります。研究によれば、チーズバーガーと一緒にグリーンサラダを注文すれば、チーズバーガーだけ注文した場合に比べて総カロリーが減ると勘違いしてしまう人が多いことがわかりました。しかし、お皿にレタスを敷いただけでカロリーが魔法のように消えるはずがありません。つまり、サラダのせいで判断する目が曇ってしまうのです。レタスの葉っぱが健康ハロー効果を生んでハンバーガーに輝きを与えた結果、実際には体によくない食事をしていても、気にならなくなります。
・”オーガニック”という表示のついた<オレオ>のクッキーは、ふつうの<オレオ>よりもカロリーが少ないように感じて、毎日食べても大丈夫だと思ってしまうらしいのです。これを「グリーン・エコ効果」とでも呼びましょう – オーガニックのものを食べるのは、健康によいだけでなく地球のためにもなるという考えです。環境にやさしいクッキーだと思えば、栄養面の問題なんておかまいなし。それで、環境保護の意識の高い人ほどオーガニック・クッキーのカロリーを軽く見て、毎日のように食べてしまったわけです。何かをいいと思ってそれにこだわってばかりいると、正しい判断ができなくなり、「いい」ことだと信じて自分を甘やかすせいで、長期的な目標を見失いかねません。
・道徳的によいことをしているような気分になると、よいことをした分、悪いことをしてもかまわないような勘ちがいを起こしてしまう。自己コントロール力を向上させるには、道徳的な善し悪しよりも、自分の目標や価値観をしっかりと見つめること。

これをまとめると、
睡眠不足で、ダイエット中の人に対して、
日頃の努力をわかってあげて、
死などの恐怖管理をしつつ、
それっぽい言い訳と許可を与えてあげる。
何か失敗事例があれば、「どうにでもなれ効果」も発動させる。
すると、意志力はもろくも崩れ去る
…ということになる。
危険危険。
悪用禁止。

●意志力に関するルール

・こんな調子では、いまの仕事を辞められないのではないだろうか、とスーザンはあせりました。そこで、スーザンは意志力をどのように使っているかを分析してみました。すると、朝のメールチェックから始まって、往復の通勤にもかなりの時間を費やしており、意志力を仕事で100%使い果たしているのは一目瞭然でした。スーザンは、自分の目標のためにエネルギーをさく時間があるとすれば、出勤前の時間しかないと気づきました。そこで、朝の最初の一時間は他の誰のためでもなく、自分のビジネスプランのために使うことに決めたのです。意志力を自分の目標のために使いたいと思っていたスーザンにとって、これは賢い行動でした。このことから、意志力に関する重要なルールが見えてきます。もし「やる力」のチャレンジに取り組むための時間やエネルギーがないと感じているなら、自分にとって最もエネルギーがあふれている時間に設定しましょう。

朝の二時間をどう使うか。
私の一番の課題。

●幸福の幻影 = ドーパミンとモチベーション

・ドーパミンの作用は行動を起こすためのもので、幸福感をもたらすものではないことを証明しました。脳は「報酬の予感」を抱かせることによって、被験者がうっかり報酬をもらい損ねたりしないようにしたわけです。報酬システムが作動したとき、被験者たちが感じたのは「期待」であり「喜び」ではありませんでした。
・脳の原始的なモチベーションのシステムに、現代のテクノロジーによってお手軽な満足がもたらせると、私たちはドーパミン放出を促す道具を手放せなくなってしまいます。パソコンが「メールが届いています!」とつぶやくのが楽しみになりました。そのうえ、フェイスブックにツイッターに携帯メール – 先に触れたロバート・ヒースの自己刺激装置の現代版とでも呼ぶべきものがあふれ返っています。「新しいメッセージが届いているかも」「Youtubeの次の動画は笑えるかも」などと思いながら、私たちは取り憑かれたようにクリックし続けてしまいます。人間はこれまでもさまざまな依存症を経験し、夢想したり、吸引したり、注射したりしてきましたが、テクノロジーほど脳に強烈な依存症の効果をもたらしたものはないといっていいでしょう。私たちはテクノロジーのとりこで、つねにさらなる刺激を求めています。現代の特徴ともいうべきインターネット生活は報酬の予感にふり回される最たる例でしょう。
・まるでケージの中のラットが、こんどこそ満足感をもたらしてくれるはずの幻の報酬を求めて、何度でも電気ショックを受けようとしたように。コンピューターやテレビゲームのデザイナーたちは、脳の報酬システムを意図的に利用してプレイヤーをとりこにしています。もしかしたら、こんどは次のレベルへ進めるかも、すごいスコアを獲得できるかも、と期待してしまうからこそ、ゲームにはたまらない魅力があります。
・ある研究では、テレビゲームをやり続けると、アンフェタミンを服用した場合と同じくらいドーパミンが増加することがわかりました。
・スタンフォード大学のマーケティング研究者らによれば、買い物客はトリンクやフードの試食によって、よけいにお腹がすいたり喉が渇いたりして、報酬を求める状態になってしまうのです。なぜでしょうか? それは、試食サンプルは無料であり食べ物であり、2つの大きな報酬の予感を結びつけるものだからです。(これで魅力的な女の子がサンプルを差し出してくれたら、あなたは3つめのFワードを口にしてしまうかもしれません!)ある実験では、甘い物のサンプルを食べた被験者は、ステーキやケーキなどのごちそうやセール品を買ってしまう確率が高くなることがわかりました。ドリンクやフードのサンプルを食べたせいで、いかにも報酬システムが活性化しそうな商品の魅力がさらに増幅してしまったのです。

マーケティングへの応用というか悪用はたくさんされているのだろう。
防御のためには理解したいけど、自分がこれを使う側には、あまりなりたくない。

●麻薬からの脱却

・多くの研究が証明しているとおり、そのようなまやかしの報酬を追い求めた虚しい経験に注意を払うようになると、呪文は解け始めます。脳が報酬に期待するもの – うれしさ、喜び、満足、悲しみやストレスへの終止符など – と、脳が実際に経験するものとを一致させるように仕向けると、あなたの脳はとうとう期待のほうを調整するようになります。たとえば食べすぎが習慣になっている人の脳は、たとえ口いっぱいに食べ物をほおばり、お腹もはち切れそうでもさらに要求します。そうやって食べれば食べるほどあせりが生まれます。あまりに早食いすぎて口に詰め込んでいる物の味すら感じていないこともあります。食べ終えるころには、体もしんどく気分も悪くなってしまいます。しかし、いつもは無我夢中でむさぼっている食べ物を落ち着いて味わいながら食べると、味もさることながら、見た目も匂いもおいしく感じ始めます。そんな人がゆっくり食べようとするのは、最初はつらいかもしれません。けれども、研究によれば、味わって食べる練習をした人は、食べ物に関して自制心が強くなり、大食いが減りました。時間が経つにつれて体重が減っただけでなく、ストレスや焦燥感や憂うつ感も軽減されました。

これは、今日から実践しよう。
たぶん、いまの私に一番必要なのは、これ。

●恐怖と意志力の関係

・恐怖管理理論からは意志力の問題における失敗について多くのことを学ぶことができます。恐怖を感じたとき、私たちがすがりつくのは銃や神さまだけではありません。多くの人はクレジットカードやカップケーキやタバコにすがりつきます。数々の実験が示しているとおり、いつかは死ぬ運命にあることを思い出すとき、私たちはありとあらゆる誘惑に負けやすくなります。楽しい気分になれるものでほっとひと息ついて、希望や安心感を得ようとするからです。
・たとえば、スーパーで買い物をする人たちを対象にした実験では、参加者に自分の死について考えてもらったところ、買い物リストが長くなったり、甘い物や好物をふだんよりよけいに買いたくなったり、チョコレートやクッキーをいつもよりたくさん食べたくなったりしました。(これで売り手の戦略もお見通しです。葬儀業者がスーパーのカート置場のわきでパンフレットを配布したりするのにも、じつはそんな裏があるのです)。
・別の実験では、人が死亡したニュースをテレビで観た視聴者は、高級車やロレックスの時計など、贅沢品の購買意欲をそそられることがわかりました。ロレックスをしていればミサイル攻撃から見を守れるわけではありませんが、そういう品物を所有することで自己のイメージが高まり、パワフルになった気がするわけです。
・2009年のある実験によれば、死亡の危険性をうたうタバコの警告表示は、喫煙者にストレスや恐怖を与えることがわかりました。公衆衛生当局の狙い通りです。けれども残念なことに、不安にかられた喫煙者たちが頼ったのはお決まりのストレス解消法、すなわち喫煙でした。ストレスによって欲求が生まれ、タバコをひとめ見るだけでドーパミン神経細胞が異常に刺激されてしまうのです。
・恐怖管理が起きると、私たちは誘惑になびくだけでなく、物事を先延ばしにしがちです。ずっと先延ばしにしている物事には、どこか死を連想させるところがあるものです。あなたにもずっと先延ばしにしていることや ”つい忘れがち” なことがあるとしたら、自分の弱さを見つめるのを避けている可能性はないでしょうか。もしそうなら、恐怖に向き合うことで、かえって合理的な選択を行えるようになります。目に見えない漠然とした影響力から逃れるのは難しくても、自分の頭できちんと理解したことについては、比較的かんたんに行動を変えることができるからです。

なるほど、恐怖管理を逆に考えて、
そもそも先延ばしをしていることがあったら、その背景に、どんな恐怖があるかを
探してみる。これはちょっとおもしろい。

●どうにでもなれ効果

・どんな意志力のチャレンジであれ、パターンは同じなのです。誘惑に負けたことで自己嫌悪に陥ってしまい、気晴らしに何かしたくなります。最もかんたんで手っ取り早い気晴らしの方法は何でしょうか? それは落ち込む原因をつくった、まさにそのものだったりします。
・常識的に考えれば、「誰だってときには自分を甘やかすこともあるのだから、あまり自分に厳しくしないで」などと言われたら、ダイエット中であろうが、もっと食べたくなってしまいそうです。けれども、罪の意識が取り除かれたことによって、その女性たちは次の試食で食べすぎることはありませんでした。私たちは、罪悪感は自分のあやまちを正すのに役に立つと思いがちですが、やはり、落ち込んでいると誘惑に負けやすくなるということでしょう。

これはよくわかる。
とくに完璧主義の人ほど、このどうにでもなれ効果が発動しやすいので、
注意しなくてはいけない。

●マシュマロテスト 子どもの将来を予見

・これは子どもの将来を予見する方法としても非常に優れていることがわかりました。4歳児がマシュマロ・テストでどのくらい待てたかということが、その子どもの将来の学業成績や社会的な成功を物語っていたのです。マシュマロを2個もらうために15分待てるかどうかということは、重要なことを示していたわけです。つまり、不愉快なことをいっとき我慢して、長期的な目標を達成することができるかどうかということ。

我慢を覚えさせることって、とても大事。
これは、まだ本能優位でいきているがシータ波の頃は難しいけど、
アルファ波に移行しだしたあたりからは、やっておくべき。

●意志力と未来に対する想像力の関係

・自己コントロールに関しては、私たちは将来の自分に過大な期待を抱かないように注意する必要があります。けれども、他の人たちにお金や労力の面で協力を願いたいときには、将来のことに関しては気前がよくなる傾向を利用して、はやばやと協力の約束を取りつけてしまうのも妙案です。
・将来の自分とのつながりが弱い人たちは、あまり倫理的な行動を取らない傾向が見られました。オフィスで拾ったお金をネコババしたり、他人のキャリアを台無しにする可能性のある情報を平気で漏洩したりする確率が高かったのです。さらに、詐欺を働けばお金が儲かるゲームでは、積極的にウソをつきました。このように将来の自分とのつながりが弱いと、自分の行動があとでどんな結果を招こうがおかまいなし、といった態度なります。それとは逆に、将来の自分とのつながりが強ければ、最悪の衝動に負けないで、自分の身を守ることができるのです。
・未来に行ってみることで、賢い選択ができるようになります。
1) 未来の記憶を作る 神経科学者たちは、「将来について想像すること」は欲求の充足を遅らせるのに役立つことを示しました。それも「将来の報酬」を思い描くのではなく、「ただ将来のことを考えるだけ」で、効果があるのです。頭のなかで将来のことを思い描くと、脳はあなたの現在の選択が将来に及ぼす影響を、具体的に、即座にはじき出します。将来のことをリアルにあざやかに感じるほど、将来の自分が後悔しないような意思決定ができるようになります。
2) 将来の自分にメッセージを送る FutureMe.org
3) 将来の自分を想像してみる(2とおり)
将来のことを考えるとき、私たちが陥りがちな落とし穴があります。遠い将来の報酬にはあまり現実味がないため、つい目先の欲求を充足させたくなるのです。

未来とのつながりが深い人が、
未来とのつながりの薄い人から金利をとる。
世の中は、ほとんどこの構造でできている気がする。

●感染 : ミラーニューロン

・肥満だけではありませんでした。飲酒量が増えた人がひとり出ると、その地域では飲みに行く人や二日酔いになる人が激増しました。ひとりが禁煙すると、その人の友人や家族も禁煙する確率が高くなったのです。悪い習慣も好ましい変化も、ともに人から人へウイルスのように感染するということ。そして、その影響をまったく受けない人はいないということです。
・人間は他人と関わって生きていくようにできており、脳はそのためにうってつけの機能を備えています。ミラーニューロンという特殊な細胞があるのですが、これは、他の人たちが考えていることや感じていること、行なっていることを把握するためにのみ存在する細胞です。ミラーニューロンが存在するおかげで、私たちは他人のさまざまな行動を理解することができます。
・あなたの脳は私の動作をあなたの体のなかで再現しようとします。まるでね探偵が犯行現場を再現して何がどのように起きたのかを理解しようとするように、ミラーニューロンは他人の動作を再現しようとするのです。
・ミラーニューロンが他人の痛みに反応しましたが、ミラーニューロンは感情にも反応します。同僚に機嫌の悪い人がいると、周りまで不機嫌になってしまうのはそのせいです。

これを考えると、
子どもが学校に行って、影響を受けることが本当によいのかどうか、
本当に悩んでしまう。
人間関係を学ぶメリットと、悪しき習慣の影響をミラーニューロンが受けるデメリット。
それを天秤にかけて、どうなのか。
相手にに影響を与えだけであればいいんだけど、
マイノリティだからなぁ..

●目標感染

・無意識に相手の心を読むことによって、自己コントロールに副作用が生じます。つまり、いつのまにか自分も相手と同じ目標を抱いてしまうのです。心理学者はこれを「目標感染」と呼んでいます。研究でも明らかになっているとおり、誰かの目標に感染したせいで自分の行動が変わるのは、非常にありがちなことです。
・ある実験では、春休みのあいだずっとアルバイトに励んだある学生に関する記事を読ませただけで、学生たちはお金を稼ぎたくなりました。また、バーで女の子を引っかけた男の話を読んだ男子学生たちは、自分たちも同じように行きずりのセックスがしたくなり、実験室に顔を出した魅力的な若い女の子にやけに親切に対応しました。

体験談を読んだり聞くということの意味も、まさにこのあたりにあるのだろう。
それにしても、やはり高い志をもっている友人と交わるという
学校環境は、とても大切だなと、再認識した。

・目標が感染するのは自分もある程度は経験のあることだけです。インフルエンザのウイルスに感染するのとはちがって、まったく経験のないことに少し触れたくらいでは感染しません。タバコを吸わない人は、友だちがタバコを一本取り出すのを見てもニコチンが欲しくなったりはしません。

想像できないことは、バーチャルでも体験もできないということなのだろう。
これは裏を返せば、リアリティのない目標を紙に書いても実現しないということ
の意味なのだろう。

●意志力の「免疫システム」

・他人の欲求が必ずしも自分に感染するわけではありません。ときには誰かが誘惑に負けるのを見ることで、逆に自己コントロールが強くなることもあります。大事な目標を脅かすような行為をしている人を見かけたとたん、あなたの脳は厳戒態勢に入ります。すなわち、脳は最も重要な目標をあなたに強烈に意識させ、目標を投げ出さないようにするための戦略を編み出します。心理学者が「反作用的コントロール」と呼んでいるもので、あなたの自己コントロールを脅かすものに対する免疫反応だと思えばよいでしょう。他の人たちの欲求に対する免疫反応を強化するには、一日の始めに数分間、自分自身の目標についてあらためて考えるとともに、どんな誘惑にかられたら目標をおろそかにしてしまいそうかも、念のため考えておきましょう。
・自分の目標をあらためて思い起こすことは、他人のもっている菌からあなたの身を守ってくれるワクチンのように、あなたの心構えをいっそう強化し、望ましくない欲求が感染するのを防ぐ助けになります。
・自制心の強いひとのことを考えると、自分自身の意志力も強くなることが研究によって明らかになっています。お手本にしたい人のことを心に思い浮かべましょう。そして、鉄の意志をもつあの人なら、こんなときはどうするだろうと考えてみるのです。
・人々の振る舞いが感染するときは、そのようにはなりません。肥満や喫煙などの社会的流行は、「複雑性感染」のパターンによって広まります。この場合、肥満や喫煙の”保菌者”と接触するだけでは感染しません。その人とあなたの関係が決め手となります。社会的流行は、地域の区画などおかいまいなく、互いに尊敬し合い好意をもっている人たちのネットワークを通じて広まっていきます。
・なぜ親しい間柄では振る舞いが感染しやすいのでしょうか? 免疫システムのたとえを使うとすれば、誰かのことを「自分たちとはちがう」と認識した場合にかぎって、私たちの免疫システムは、その人の欲求や振る舞いが自分に感染するのを防ぎます。体の免疫システムも、自分の細胞を攻撃したりはしません。自分と同じだと認識するものは攻撃しないわけです。しかし、「自分とはちがうもの」だと認識した場合は、脅威とみなします。そして、病気が自分にうつらないようにそのウイルスやバクテリアを隔離したり破壊したりします。
・このことは、脳スキャナーを使った実験でも実際に確認できます。私たちが「自分」と思っているものには、自分が大事に思っている人も含まれているということです。私たちの自己意識には、このように他の人たちが含まれているために、その人たちの選択が私たちの選択にも影響を及ぼすのです。
・不健康な行動をやめさせるための新しい戦略を示したことになるでしょう。すなわち、「そんなことをするのは、あなたが絶対に仲間になりたくないような人たちの習慣ですよ」と言えばよいのです。

私がこの職場で影響を受けにくいのは、関わりを最小限に押さえているから。
そして考える時間を最小限に押さえているからなのだろうと思った。
そして、メンターや自分の本当の居場所について、できるだけ考えているから。
同じように子どもにも、学校での悪影響を最小限におさえるような工夫ができないか
考えてあげたい。
何かのシンボルを置けばよいのかな。

●衝動との付き合い方

・ウェグナーの発見によれば、起きているときに憧れの人のことを考えないようにしていると – あえてその人のことを考えて夢想にふけった場合よりも – その人の夢を見る確率が高くなることがわかりました。よく知られているとおり、禁じられた恋ほど燃えるという心理傾向です。
・喫煙者たちは、タバコを吸いたくなったら、ムリに他のことを考えようとしたり打ち消そうとしたりせず、吸いたい気持ちをじっと観察するようにと指示されました。これまでにも見てきたとおり、心配ごとがあったり、食べたいのを我慢したりするときにも、かなり効果的な方法です。
・ボーウェンは喫煙者らに対し、衝動というものは、こちらがそれに負けようと負けまいといずれ去っていくと説明しました。ですから、強い衝動を感じたときには、頭のなかで大きな波を思い浮かべます。波はうねってものすごい高さになりますが、やがて砕け散って消えてしまいます。喫煙者たちは、自分がみごとに波に乗っている姿を想像しました。波に対して抵抗もせず、かといって呑まれることもありません。

衝動に負けようと負けまいと、いずれ去っていく…
しかしこの衝動をやり過ごすのが、なかなか難しいというのも事実。
とくに大きな衝動の場合には、瞑想テクニックが必要だろうな。
言葉でいうほど簡単ではないけど、
逆に、絶対にできないこともない。

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