秘密集会タントラ和訳

仏教タントラの初の完全和訳・・・ということで、グヒヤサマージャの瞑想について、なるべく原文に忠実な形で翻訳されていてすごい。

前回、タントラの瞑想法を読んだ流れで、
実際のグヒヤサマージャの瞑想がどうなっているのか知りたくて、読んでみた。


前回、ツォンカパによるグヒヤサマージャ(聖者流)に注釈と補足も加わったものを読んだけれど、こちらの本はまた、雰囲気が全く違う。ツォンカパが評価したゲールク派らしい固い内容になったグヒヤサマージャとは違って、とても過激で、グロテスクで、とにかくすごい。
訳者あとがきによれば、成立当初のグヒヤサマージャは、あまり統一性のある経典とはいえず、それまであった様々な思想等に対して「仏教による意味づけを行ったもの」ということらしい。それが本当かどうかは別として、とにかくすごい。
たんに性に関する描写がきついという意味ではない。社会通念に徹底的に挑戦する内容。誤解して間違いを起こす人がいるといけないので、とても公開されたブログなどにかける内容ではない。もちろん私にも到底実践などできない内容。
その一部を紹介すると…
・妃の供養(p36)
みめ美しい十六歳になる、女を得て…
・身語心等の憶念の方法(p39)
しっかりした心をもつ、十二歳の乙女を手に入れて…
・乙女の選択(p43)
広い目を持ち、美しい容姿と若さで飾られた、乙女を得て、二十五歳になる者を…
・師に対する供養(p45)
顔美しく魅力的で、幸福そうな乙女を見つけて…
・阿閦の教令輪(p91)
大暴悪者を殺すべし。…
・真言行者の特殊な儀則(p124)
・怨敵の殺害法(p125)
・大印の加持(p139)
…は愛欲すべし
・秘密の三昧耶(p165)
汝は生命あるものを…
・三界に出生した、天と阿修羅の妃でさえも…(p219)
・秘密灌頂(p221)
糞尿と精液を混合して…
・明妃の禁戒(p222)
金剛を持する師は、弟子のために、かの明呪の妃を手にいれて…
・訳者あとがきの中から(p245)
いかなる方法によっても仏教に信を向けない人を、一旦…
そして、思った。
このような、一般の人からみれば社会通念や公序良俗に反するといえるような教えも受容してしまう懐の深い文化だからこそ、、リメー(超派)の実践ができるのかも知れない。清濁あわせのみ、あるいは全く異なる文化・価値観を認めるという姿勢になれるのかも知れない。
一切を、越えている。

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