企業の究極の目的とは何か
読み進むうちに、TOCの原理が自然に頭に入る
あらゆる自分の中の経験が呼び起こされ、つながった。
そんな不思議な物語だった。
●気になったことば
・ペーパー上、無理にアイドルタイムをプロセスタイムにするこじつけは全く意味がない。
・ボトルネックの時間を無駄にしてはいけない。同時に、非ボトルネックには余剰があってよい。
・リソースを使用することと、リソースを活用することは別の話。
非ボトルネックの効率を上げすぎると、全体の効果が落ちる。
かつてしていた私の仕事では、私というリソースや、私が管轄するプロセスには「余剰」があった。そしてボトルネックは他の人や他部署にあった。
余剰を持ち、適切な在庫を次の工程にまわしておくにとどめるのが正しいのであって、暇そうにしていることに罪悪感を感じる必要もない。無理に仕事をつくりだしたりして、忙しそうにみせることにも、もちろん意味がない。それを理解できないマネージャーであれば、悲しい。だからこそ自分で仕事を興すのだ。
・セットアップ/プロセスタイム/キュータイム/ウェイトタイム の四つの時間のうち、ボトルネックは、キュータイムが長く、非ボトルネックはウエイトタイムが長くなる。いずれにしても、実はセットアップとプロセスタイムは短いことが多い。
・マネジメントは以下三つの言葉に集約される。
何をかえるか
何にかえるか
どうやってかえるか
●工場のイメージ
若い頃、私はMCを使った仕事…金属加工の仕事をしていたこともある。
だから、工場のイメージがとてもよくわかる。
材料が加工されて出荷されていくまでの流れ、工場の中で工程を待っている時のイメージ、
マシンのセットアップの話、NCとか射出生計といった言葉
…なんだか懐かしくもあった。
●ネットワークエンジニアリングの概念
でもそれよりも、「スループット」とか「ボトルネック」、「バッチ」や「キュー」といった言葉や、
待ち行列のような話(制約条件の理論)をきいていると、
ネットワークエンジニアリングの仕事をしていた経験から、
それがネットワークのトラフィック、輻輳の話とも、つながってイメージされた。
●尊敬する上司のイメージ
この本に出てくる物理学者ジョナは、
「数学的に証明できる」
と言った。
私に影響を与えたかつての上司(経営コンサルタント)の
「これは簡単なんです。これは数学の問題ですよ」
という口癖と、重なった。
●夫婦関係とビジネスの暗喩
さらには、主人公のアレックスと妻とのやりとりは、
まるで自分と妻とのやりとりのような感じた。
相談や感情のシェアという意味での仕事の話は、夫婦間ですることに価値がある。
(愚痴ではなく、前向きな感情のシェアの場合)
●生前の父のイメージ
なぜか、9才のころにこの世を去った父のイメージが出てきた。
そういえば、父も工場で働いていた。
詳しくは知らないけれど、在庫管理だとか、物流だとか、なんだかそんなことをやっていたような気がする。
生前、一度だけ連れて行ってもらったことがあるその職場に、車をとばしてみた。
なんだか、父が身近に感じられた。
本全体としては、
神田さんが、成功者の告白や、お金と正義でやりたかったことに、近いような感じもした。
起業家としてではなく、マネジャーの立場からみると、こんな感じになる。
ジョナが、「適切な問い」を用いて誘導していくコーチングの意義も、とても参考になる。
この続編が読みたくなった。